NY金、急落後の見通し

著者:菊川 弘之
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 昨晩のNYダウは急反発。上げ幅は過去最大となった。各国主要中銀が今週にも協調利下げに踏み切る可能性が材料視されたが、本日「G7電話協議で調整を進めている新型肺炎拡大を受けた声明には、新規の財政支出や協調利下げの要請については特に言及されない見通し」と報じられている。

 更に、米国の感染拡大での買い付け騒ぎや、致死率の高さを指摘するマーケットの声も出始めている。

 「河北省を除けば31の省・自治区・直轄市の約9割は新規感染者が連日0~1人にとどまる」 (3/1日日経)に見られるように、中国では感染拡大が一服しているのに対して、韓国、イタリア、イランで感染者急拡大している。特にイタリアは、欧州各国と地続きで、国境管理も往来が自由で感染封じ込めは困難な状況。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、OECD(経済開発協力機構)は、今年の世界全体の成長率を0.5ポイント引き下げ、2.4%になるとの見通しを発表。感染が中国以外の地域にさらに拡大すれば、今年の成長率は1.5%にまで下がる恐れもあるとした。

 米国と比べて、中国向け輸出の対GDP比率や輸出における中国向けの割合が、ドイツを始めとして欧州各国は総じて高く、自国での感染拡大と合わせて、中国経済の影響を受けやすい。シリアとトルコが一触即発の状況にあり、ロシアが中止に入る予定だが、難民問題が再浮上するリスクもある。今後、発表されてくるマクロ経済指標は悪化が予想され、依然としてハードブレグジットのリスクも残る欧州全域が、ブラックスワンとなるリスクにも注意したい。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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