WTI原油先物、ついに26ドル割れ。2000年代前半の水準まで下落

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。25.79ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,510.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は9,965元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年05月限は236.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで845.35ドル(前日比15.15ドル縮小)、円建てで2,872円(前日比31円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月18日 19時21分頃 先限)
 5,133円/g 白金 2,261円/g 原油 23,400円/kl
ゴム 156.0円/kg とうもろこし 22,820円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「WTI原油先物、ついに26ドル割れ。2000年代前半の水準まで下落」

前回は「原油価格の下落が株式相場を下落させたわけ」として、今年2月下旬ごろから下落が顕著になった原油価格とNYダウの関係について書きました。

今回は「WTI原油先物、ついに26ドル割れ。2000年代前半の水準まで下落」として、日本時間3月18日午前に、2016年2月につけた26.05ドルを下回り、同夕方時点で25ドル台まで下落しているWTI原油先物について、同原油の先物がNY市場に上場したとされる1983年からの値動きを振り返ります。(価格はいずれも期近ベース)

以下のグラフの通り、WTI原油先物は、2020年3月に急落しています。グラフは2020年3月17日時点のものであるため、下落幅がさらに拡大する可能性があります。

25ドル台は、リーマンショック(2008年9月)後、2008年12月につけた32.04ドル、逆オイルショック(2014年半ばから2016年末)の際、2016年2月につけた26.05ドルをも下回る、2003年5月以来の水準です。

2000年代前半のいわゆる“新興国の台頭”によって盛り上がる直前の水準まで、下落したわけです。

OPEC、米国、新興国、各消費国、さまざまな市場参加者の栄枯盛衰の果てに、およそ17年間前のスタート地点に戻った、と言えます。

このおよそ4週間、新型コロナウイルスの脅威とOPECプラスへの失望が重なり、わたしたちは原油相場の異例ともいえる下落を目の当たりにしてきました。

そしてついに至った、17年ぶりの安値水準。もはや市場は大きな失望を抱えているとみられます。

ただ、個人的には、スタート地点に戻ったことで、どこか心の荷が下りた、はれやかな気持ちもあります。

まだ目先、下落する可能性はありますが、新しい相場展開を見ることができる、という期待を込めて、引き続き、原油市場をウォッチしていきたいと思います。

図:WTI原油先物長期チャート
WTI原油先物長期チャート

出所:CMEのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。