4月以降、非OPECから日量10万バレルの原油生産量が戻ってくる!?

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。21.50ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,612.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は9,680元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年06月限は265.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで892.8ドル(前日比26.6ドル縮小)、円建てで3,050円(前日比34円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月31日 19時43分頃 先限)
 5,524円/g 白金 2,474円/g 原油 24,520円/kl
ゴム 145.2円/kg とうもろこし 22,990円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「4月以降、非OPECから日量10万バレルの原油生産量が戻ってくる!?」

前回は「4月1日以降、OPECから日量140万バレル以上の原油生産量が戻ってくる!?」として、協調減産が終了した後、どれだけOPECが増産をするのかについて考察しました。

今回は「4月1日以降、非OPECから日量10万バレル以上の原油生産量が戻ってくる!?」として、協調減産が終了した後、どれだけOPECプラスにいた非OPEC諸国が増産をするのかについて考察します。

現在の減産のルールは、原則、2018年10月を基準に行われていましたので、OPECプラスの非OPEC諸国においては、単純に、減産の基準月まで生産量が戻ったとすると、以下のグラフの通り、2020年2月比で日量およそ10万バレル、増加する計算です。

前回、OPEC側から2月比、日量200万バレルもの増産の可能性があるとしましたが、非OPEC側は日量10万バレル程度とみられます。

違いは、もともとどの程度、減産に取り組んでいたかです。

OPEC側は(というよりはサウジが)減産に熱心に取り組んでいたため、生産量が戻った時の反動が大きくなる可能性がありますが、非OPEC側はもともと減産に熱心ではなかったため、その反動が小さい、というわけです。

とはいえ、原油価格戦争と呼ばれる、3月6日のOPEC・非OPECの会合後の事態において、とにかくここまで原油価格が下がったのだから(下げたのだから)、単価の低下を量で補おう、と非OPEC諸国の中で考えている国もあるとみられます。

その意味では、必ずしも、基準まで戻ることが生産量が増えること、なのではなく、基準まで戻し、それ以上の増産が行われる可能性があるわけです。

新型コロナウウイルスの影響で、消費減少が懸念されていますが、旧OPECプラスからの供給増と消費減が相成り、過剰在庫がさらに積み上がる、需給バランスにおいて供給過剰感が増す、事態になると考えられます。

図:減産に参加する非OPEC10カ国合計の原油生産量 単位:百万バレル/日量
減産に参加する非OPEC10カ国合計の原油生産量

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。