OPEC月報でも、サウジ4月は大増産

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。27.98ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,740.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,295元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年07月限は259.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで952.85ドル(前日比13.05ドル縮小)、円建てで3,327円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(5月15日 19時56分頃 先限)
 5,960円/g 白金 2,633円/g 原油 23,090円/kl
ゴム 152.5円/kg とうもろこし 22,410円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC月報でも、サウジ4月は大増産」

前回は「ならず、米原油在庫統計史上最高。市場は安堵して上昇」として、昨晩、EIA(米エネルギー省)が公表した米国の原油在庫について書きました。

今回は「OPEC月報でも、サウジ4月は大増産」として、OPEC(石油輸出国機構)が今週水曜日(13日)に月報で公表した、サウジの4月の原油生産量について書きます。

今月のOPEC月報によれば、2020年4月のサウジの原油生産量は、日量1155万バレルでした。前月比、15%を超える大増産でした。

以前の「サウジ4月の原油生産量が同国史上最高でも、原油価格が上昇したわけ」で述べた通り、月初に海外大手メディアが公表した同国の4月の原油生産量は日量1130万バレルだったため、おおむね同じ量と言えます。

サウジは、5月1日からの減産開始を前に、4月が終わる間際の数日間、前倒しで減産を開始していた、と報じられています。

前倒しで減産が始まった可能性はあるものの、前倒しの減産があったにも、かかわらず、4月全体で日量1150万バレル前後の生産を行ったということは、瞬間的には、日量1200万バレルに近い生産が行われた可能性があります。

とはいえ、今週、EIA(米エネルギー省)、OPECなどの専門機関からサウジの原油生産量の公表があり、過去最高水準だったことが明らかになったにもかかわらず、原油相場は上値を伸ばしています。

もちろん、サウジの原油生産量の動向だけが、原油相場の変動要因ではありませんが、今後の、サウジの動向が、OPECプラス全体の動向、つまり、減産を順守する・しない、に関わってくると考えられます。

来月のこのタイミングは、OPECプラスの減産初月の生産量のデータが公表されます。注目したいと思います。

図:サウジの原油生産量 単位:千バレル/日量
サウジの原油生産量

出所:OPEC(石油輸出国機構)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。