米大統領選挙と金相場

著者:菊川 弘之
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 マーケットは、急速にバイデン候補勝利・議会も民主党勝利と言う「トリプル・ブルー」を織り込むような動きを見せているが、第2次世界大戦以降に大統領選に臨んだ現職10人のうち、敗れたのは、カーター氏とジョージ・ブッシュ氏だけだ。

 トランプ大統領が重篤化するならバイデン候補圧勝の可能性はあったものの、未承認薬など最新の投薬治療を受けてトランプ大統領は5日には退院。「コロナに打ち克った強い大統領」を前面に出すように大統領選に向けた演説や集会を再開させている。

 トランプ大統領は、
 Don't be afraid of COVID.(コロナなど恐れるな)
 Don't let it dominate your life.(コロナにあなたの生活を支配されるな)
 
 とツィートしたが、新型コロナ致死率がインフルエンザと大差がないとの報告もある中、ロックダウンするなどバカげているとの声も一部であり、コロナ回復後も差別を受けている方々や無症状者なのに差別を被っている方々などを含め、「隠れトランプ層」が増加する可能性もある。

 一般国民からの信認の厚い米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も14日、トランプ大統領について、感染を広める恐れはもうなく、15日のタウンホール形式のイベントに参加しても他の人をリスクにさらす危険はないと表明。トランプ大統領が受けた全ての新型ウイルス検査の結果に加え、米国立衛生研究所(NIH)の施設で追加的に実施された検査の結果をNIHのクリフォード・レーン氏とともに精査し、トランプ氏に他者を感染させる恐れはもはやないとの結論に達したと述べている。懸念されるのは、欧州の感染再拡大。この動きが米国に飛び火するのか否かに注意したい。
 
欧州主要国の1日あたりの新規感染者数
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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