米大統領選挙と金相場

著者:菊川 弘之
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 10月15日の第二回のTV討論会は中止となったことで、10月22日に予定されている最後のTV討論会に注目が集まる。

 今回の大統領選挙では郵便投票が大幅増加することもあり、接戦州でのトランプ大統領の圧勝でなければ、2000年の大統領選挙時のように、11月にすんなり、次期大統領が決まらず、法廷闘争になる可能性は高い。州によって郵便投票用紙の必着日に差があることも混乱を長引かせそうだ。

 出口調査では、実際に投票所に足を運ぶ有権者の多い共和党トランプ大統領優勢、民主党が多いと見られる郵便投票開票に連れてバイデン候補が優勢・逆転する可能性が予想されている。

 2000年の際には、11月7日投票、選挙人投票日が12月18日だった。この時、最高裁は12月12日に再集計を禁じる判決を下し、ゴア陣営は、「最高裁判決を受け入れる」として、13日に敗北宣言を表明した。金価格は、この間、市場の不透明感を背景に上昇を続けた。ゴア候補の敗北宣言後にドル建て金は反落したものの、円建て金はその後も、円安ドル高の流れに乗り、続伸した。

 2020年の大統領選挙では、選挙人投票日(12/14)までに大統領選挙人が確定できるか否かが焦点となる。2000年と同様、最高裁にまでもつれ込んだ際に重要となるのが、12日から行われている、保守派バレット氏の承認に向けた公聴会の動向。バレット氏が承認されれば9人の判事のうち6人が保守派と圧倒的多数になる。この場合は、中立に近いと言われるジョン・ロバーツ長官がリベラル派に回ったとしても、5対4で保守派優勢となる。大統領選挙までに後任人事が決まらないと、大統領選挙を巡る法廷闘争において、4体4で最高裁でも評決が割れる可能性が出てくる。
 
大統領選挙日程

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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