週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.11ドル高の41.63ドル、ブレント原油は同1.13ドル高の44.17ドルとなった。

 前週末13日は大幅に続落となった。リビアの原油生産が120万B/Dまで増加したとの報や米石油掘削リグの増加を嫌気した。

 週明け16日は大幅反発した。米モデルナが開発中のワクチンの有効性が示されたことや、冷凍保存の必要性がないとの報道がワクチン早期流通期待を高める格好で反発した。またOPECプラスの減産継続に対する期待も押し上げ要因となった様子。翌17日は小幅に上昇した。ワクチンの早期使用許可に対する期待から買いが先行したものの、目先の感染者数拡大に歯止めがかからない状況下、終盤利食い売りが優勢となった。翌18日も上昇となった。米ファイザーと独ビオンテックの共同開発のワクチン有効性が95%と前週発表の数値よりも高かったことが材料視された。同日発表のEIA統計では原油が+77万B、ガソリンが+261万、留出油が-522万と、暖房需要から中間品の減少が示された。翌19日は小幅に反落した。ロックダウンが再導入されている欧州情勢やワクチン報道も落ち着き材料難となった模様。リビアの生産量が125万Bと小幅に増加が示されたが材料視されなかった。ワクチンへの期待等から総じて底堅い動きが続いたが、目先の新型コロナウィルス感染拡大の状況や月末にはOPEC総会を控えることなどから積極的な売買が手控えられた印象である。



 新型コロナのワクチン有効性が示されたことで時期は未定ながら原油需要回復に対する光明は差してきたといえるが、目先の新型コロナウィルス感染拡大による世界的な移動に対する規制や手控えは目先の需要の落ち込みにつながるという強弱の材料に挟まれた状況といえる。OPEC総会では3か月の減産延長が想定されているが、ほぼ織り込みが進んでいると思われる。上値追を肯定するほどの状況には見えないためレンジ内の値動きを想定するが、先々の正常化に向けた動きには備えなければならない状況になってきているか。中期目線での押し目買いを推奨する。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。