米シェールは、もはや斜陽産業!? 回復しない同地区の原油生産量②

著者:吉田 哲
原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。45.09ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,808.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は15,230元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年01月限は289.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで841.05ドル(前日比5.35ドル拡大)、円建てで2,865円(前日比26円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月27日 18時11分頃 先限)
6,061円/g 白金 3,196円/g
ゴム 247.8円/kg とうもろこし(まだ出来ず)

●WTI原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「米シェールは、もはや斜陽産業!? 回復しない同地区の原油生産量②」

前回は「OECD石油在庫の過剰感が薄れ始めた点も、足元の原油価格上昇の一因」として、OECD石油在庫に注目しました。

今回は以前の「米シェールは、もはや斜陽産業!? 回復しない同地区の原油生産量①」の続編として、米シェール主要地区の原油生産量が減少している要因について、筆者の考えを書きます。

EIA(米エネルギー省)は、米国にはシェール主要地区が7つあるとしています。これらの7つの地区の原油生産量の合計は、10月時点で日量778万バレルとなり、5カ月ぶりに減少しました。

足元、バイデン氏の大統領選挙における勝利宣言が、クリーンエネルギーの台頭を強く想起させていることから、米国の化石燃料の消費量が、今後、減少に転じ、それに伴い、米国の原油生産量が減少するのではないか?という連想が、働きやすくなっています。

この連想では、米国の原油生産量の減少のきっかけは、バイデン氏の勝利宣言です。このため、米国全体の原油生産量やそのおよそ70%を占めるとみられる米シェール主要地区の原油生産量は、勝利宣言がなされた11月以降に減少することを、想定しているわけです。

しかし、先述のとおり、米シェール主要地区の原油生産量は、10月、前月比マイナスとなりました。同地区の原油生産量は、すでに、減少に転じている可能性があります。

このように考えれば、10月の同地区の原油生産量の減少と、バイデン氏の勝利宣言は、直接的な関りはないと言えそうです。バイデン氏勝利の“見通し”によって、同生産量が減少した、と考えるのは、やや無理があると思います。

10月の同生産量の減少の直接的な原因の一つに、同地区の新規開発(具体的には掘削)が、大幅に鈍化したままであること、が挙げられると筆者は考えています。

以下のグラフのとおり、いわゆる“稼働リグ数”(新規開発の前工程にあたる掘削のために稼働している掘削機の数。開発段階の“数”にあたる)が、3月以降、急減し、低水準のままです。

これは、3月以降、同地区で新規開発が大幅に鈍化したままであることを、意味します。

こうした中、同地区の原油生産量が、6月から9月まで増加したのは、グラフ内に示した開発段階の“質”にあたる新規1油井あたりの原油生産量が急増したためだと、筆者は考えています。しかし、その“質”も、10月は頭打ち感がでました。

全体的には、3月から9月までは、“質”の急増が“量”の急減をカバーし、同地区の原油生産量は増加したものの、10月は“質”が頭打ちで“数”は低水準のままだったため、同地区の原油生産量が減少に転じた、と言えそうです。

“質”と“数”が、うまくかみ合うことが同地区の原油生産量を増加させるきっかけになるとみられますが、バイデン氏の勝利宣言を受け、米国内で化石燃料の存在そのものが否定されつつあることを考えれば、今後、特に“数”の回復は、見通しにくいかもしれません。

バイデン氏の勝利宣言は、“これから”、米シェール主要地区の原油生産量を減少させる可能性がある点に、留意が必要だと、筆者は考えています。

図:米シェール主要地区の新規1油井あたりの原油生産量と稼働リグ数


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。