ふたたび不透明な時

著者:近藤 雅世
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 再び不透明な時となっている。米国大統領選挙に決着がつき、新型コロナウィルスに対してはいくつかのワクチンが開発され接種が始まった。しかしまだその効力については実証済みではなく、直近ではコロナの世界各地で感染者数が増えている。

 Calculated Riskによれば、12月13日一日で米国では1,397,965 件の検査が行われ、感染者数は13.7%だという。日本と米国の新型コロナウィルス対策の違いは、米国ではとにかく全員検査を急いでしようとしていることだ。検査して陽性の人々を洗い出し、患者を隔離すれば、感染は減ると言う対策である。

 一方日本では、病院などにコロナの症状らしきものが現れた人にのみ指定保健所が検査を実施している。そのため、潜在的なコロナ患者は放置されており、三蜜を避けたりマスクをかけて仕切り越しに話をするという感染防止策を取っているが、これは感染者を減らすことにはなっていない。

 かかりつけの医者によれば、全く症状のない人や発熱や味覚障害が無い人が来院して検査を受けさせるとコロナ患者だったことがよくあると言う。日本の一日当たりの感染者数は100人前後からいつの間にか数百人単位に増えている。明らかに感染は広まっている。日本の対策は病院の機能不全を防ぐために取られた措置と思われるが、米国は一日当たり数万人の感染者が発見されているのに、日本では数百人で驚いている。ようやく民間の検査施設が稼働し始め、安価な検査を受けられるようになってきたが、あくまで民間の自発的なものである。

 いずれにせよ、ワクチンができたといって株価は上昇しているが、現実的にコロナがいなくなるためには、中国が強制的に移動を禁止したり、三日で病院を建てたりするようなドラスチックな対策が必要なのではなかろうか。GO TOは、東京と名古屋を除くなどとのんきなことを言っている場合ではないのではなかろうか。

 さて、コロナワクチンの生産が始まり、米国や欧州で経済対策のために巨額な財政投資が行われると言う報道に株価は高値を更新している。いわゆるリスクオンの投資が盛んになって来ているが、果たして本当に株価通りのバラ色な未来が待っているのであろうかは未だ疑問である。

 11月の金のETF残高は大幅に減少し、金価格は下落しているが、コロナが収束すれば更に下落する可能性があると言う読みとなる。しかし、原油の需要も来年は今年よりは良くなるが、2019年ほどにはならないという予測が多い。つまり、最悪の時期は脱したが、まだ先行きは楽観できないという状況であろう。

 ならば、金はいつか反発することもあり、原油は思ったほど上がらない可能性がある。そろそろ来年の価格を予言する時期が近づいているが、ますます霧がかかったように、先行きの見通し不能になっているというのが実感である。

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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