米金利上昇に伴う下落した金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 200日移動平均線は割り込んだものの、52週移動平均線は維持している。
 昨年の3月や11月末のように、移動平均線が上向きの状況で、移動平均線へ向けた押し目形成場面は、グランビルの買い法則②・③となる可能性。 東京・NYの両市場で、長い下ヒゲや、長大陽線などのチャート上の底打ちパターンが出れば、中長期的な買いの好機となると考える。

 米政権・議会は2020年3月以降、すでに4回のコロナ対策を発動している。20年12月末には9000億ドルの追加財政出動を決めたばかりで、既に対策規模は4兆ドルと国内総生産(GDP)比で20%前後に達している。1.9兆ドル(約200兆円)を積み増せば、GDP比で3割近い景気刺激策となり、過去例のない巨額の連続財政出動となる。
 過去の米財赤字と金価格との関係を見ると、財政赤字のピークを付けてから、タイムラグを置いて、高値を付けている。バイデン政権となって、財政支出は拡大・財政赤字も拡大見通しであり、ワクチン治療薬の登場や、新型コロナ収束で世界的な危機対応の財政・金融政策緩和政策不要論が前倒しで始まり、「良い金利上昇と共に株価が上昇、実体経済も利上げに耐えうる強い成長を見せる」事態となれば、下落トレンド入りとなろうが、低金利政策の長期化思惑が崩れない限り、内外共に52週移動平均線を下値支持とした上昇トレンドが継続しそうだ。  

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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