週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.46ドル高の65.02ドル、ブレント原油は同0.26ドル高の68.42ドルとなった。

 前週末の海外原油相場は大幅に反落した。インド日本といった需要国にて新型コロナ感染者数が拡大していることや、本邦においては大型連休を控えたことによる手仕舞い売りから下げ幅を拡大した。

 先週は大幅に値を戻す展開に転じた。5日は大幅に反発した。依然インドの感染状況は拡大傾向であったものの、中国の需要回復や、ワクチン接種率の高い欧米における需要回復期待から欧米時間にかけ強含んだ。翌4日も続伸した。真新しい材料はないが欧米のロックダウン緩和による需要回復を買い材料とし上昇した。翌5日はまちまちの展開となった。API統計で原油在庫が大幅に減少し買いが先行した。EIA統計もAPI統計同様に原油が大幅減少したものの、NY時間に利食い売りから若干マイナス再度まで値を削る展開となった。6日は下落した。欧米のワクチン接種による景気回復期待もあったが、インド、ブラジル、日本などのコロナ流行が相場を圧迫した。また、米国とイランの核合意修復に向けた動きも圧迫したようだ。本日7日も前日の流れをやや引き継ぎ上値重く推移している。



 EIA石油統計で原油在庫大幅取り崩しからの利食い売りに押される展開となった。水準は3月の高値近辺で反落し、テクニカル上ダブルトップの懸念が出やすい可能性がある。想定されるレンジは少し下方向に大きくなる可能性があり注意する必要があろう。確実にワクチン接種先進国の需要は上向く想定もなされる環境だが、日本においては緊急事態宣言の延長が示されたばかりで、また、OPEC等産油国の増産による需給バランスも懸念されやすいと思われる。調整の下限を見極める展開となるのではないか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。