第10回、移動平均線 その6、『 移動平均線の複数使い 』後編


さて、12月中旬の①の時期を注目したまえ。ここでは三本線の拡散が見られ、12月いっぱい大きく下げトレンドが続いた。

■「ほんとだ。典型的拡散。」

□さて、年を明けて1月からはさらにきれいな大循環になっている。

1月早々、短期線が中期線を上抜き
②長期>短期>中期の「ゴールデンクロス」に到達。
その後、1月後半に短期線が長期線も上抜き、
③短期>長期>中期の文字通り「本格上昇期」に突入。

2月に入って中期線が長期線を上抜き
④短期>中期>長期と「上昇トレンドの完成」形が実現。

■「まるで僕の人生のように順調ですね。」

□知らん知らん。

ここでの三本線の間隔を見てごらん。平行して上昇しているのがわかるね。これが2月の金の安定上昇を裏付けた。

■「確かに。平行上昇の典型パターンだ。」

□ところが2月後半には拡散が見られる。『トレンドの後半の拡散には気を付けろ!』という鉄則どおり、3月に入ると上昇力に陰りを見せている。さて、このまま下降トレンドに入っていくのか、もう一度踏ん張って持ち直すのか注目だ。

■「こういうの見ながら分析していくって楽しいですね。なんかやみつきになりそうです。」

□だろ?実戦チャートで勉強すると大循環が理解しやすい。

■「確かにわかりやすいです。」

□さ、まとめるぞ。
上昇トレンドが下降トレンドに変わり、下降トレンドが上昇トレンドに変わるという大きな流れの中では基本的に、正順の大循環になる。もし仮に逆の動き、つまり②から①、③から②という動きが出るとしたら、それはあくまで一時的な揺り戻し、最終的にはこの順番どおりの動きで推移する。

但しもみ合い相場は別。もみ合い相場ではこの大循環の中のいくつかの段階を行きつ戻りつする。もみ合いと見極めればもみ合い相場に合わせたトレードをすればいい。

◇基本は①→②→③→④→⑤→⑥→①という流れ。 ◇時々、戻しや押しで③→②とか④→③という逆順の動きが出てくるが、その後は正順に戻る。 ◇ある段階を行ったり来たりするのは、もみ合い相場。例②→③→④→③→②→③等の動き。
□この大循環分析を理解しておけば、もみ合いの終了時も判断することが出来る。以上、大循環分析の解説、駆け足だったが、ひととおり終了。 ■「なるほど。勉強になりました。講師、本日は長時間にわたり、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。」 □ありゃ、今日はやけに殊勝じゃないか。と思ったら大急ぎで荷物をまとめて帰る準備をしているな。単に早く帰りたいだけか。 ■「いえいえ、長らく続いた『移動平均線』の講義もこれで終わりかと思うと感慨が・・・。」 □ん?誰もまだ終わりとは言ってないが。