[Vol.1084] 現在の石油消費国No1は米国

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。75.03ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,748.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年01月限は13,705元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年11月限は494.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで765.95ドル(前日比9.45ドル縮小)、円建てで2,740円(前日比12円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月27日 19時34分頃 6番限)
6,225円/g 白金 3,485円/g
ゴム 209.5円/kg とうもろこし 33,880円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「現在の石油消費国No1は米国」

前回は、「現在の原油生産量No1は米国」として、現在の原油生産量No1が米国であることと、その背景について書きました。

今回は、「現在の石油消費国No1は米国」として、現在の石油消費量No1が米国であることと、その背景について書きます。

以下の図のとおり、米国の石油消費量は中国の1.46倍程度です。米国の石油消費量の内訳は、ガソリン45%、航空機燃料8%、ディーゼル燃料や暖房用・発電用燃料20%、プラスチック製品向け15%、その他12%です。(EIAのデータより 2021年8月時点)

石油は、世界屈指の規模を誇る米国経済や米国市民の豊かな生活を、交通・発電・生活必需品の面で支えています。こうした用途で使われる米国の石油消費量は、新型コロナショック直後にロックダウンなどの影響で短期的に急減したものの、その後は回復し、現在はコロナ前と、大きな差はありません。

中国の石油消費量は、長期的に見れば、緩やかに上昇傾向にあります。2017年1月と2021年8月を比べると、およそ11%、増加しています。新型コロナショックの際、米国と異なり急減しなかったのは、中国のメインのエネルギー源が、石炭だからです。一次エネルギー源のおよそ60%が石炭とされています。(2018年 IEA 国際エネルギー機関の統計より)

米国のエネルギーの内訳は石油35%、天然ガス34%、再生可能エネルギー12%、石炭10%、原子力9%です。(2020年 EIA 米エネルギー情報局の統計より)この内訳が、先進国の当面のエネルギー内訳のサンプルだとすれば、中国の内訳も将来、このような内訳になる可能性があるでしょう。

燃焼時の二酸化炭素の排出は、石炭の方が石油よりも多いとされているため(石油は天然ガスよりも多い)、中国は石炭からの脱却を目指すことになると、考えられます。目先的には石油や天然ガスに、超長期的には再生可能エネルギーにシフトするのではないでしょうか。

図:米国と中国の石油消費量 単位:百万バレル/日量


出所:EIAのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。