週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.68ドル高の55.25ドル、ブレント原油は1.87ドル高の58.98ドルとなった。

 前週末の海外原油は大幅続伸。OPECが協調減産を強化する可能性が意識される中で買戻しが続いた。また、米稼働リグ数が前週比6基減の764基となったことも買い材料視された。

 先週は株安が進行する中、原油相場も値動きの荒い展開となった。週明け12日は小幅続伸。米中通商協議の最終合意は当面ないとの見方から世界的な株安となり、リスクオフの動きから原油も弱基調で推移してたが、サウジを中心とした産油国の追加減産期待から下値を切り上げプラスサイドに回復した。13日は急伸。米国が対中追加関税の発動を一部延期すると発表したことや、この日行われた米中の電話協議が非常に生産的だったとの認識をトランプ大統領が示したことからNYダウが急反発となり原油も連れ高となった。14日は一転、急反落。7月の中国小売売上高や鉱工業生産指数の経済指標が弱かったほか、4-6月期のドイツGDPが前期比マイナスとなるなど景気後退による石油需要下振れ懸念が高まった。翌15日は続落。中国が米国の関税強化に対抗措置をとることを示唆したことから景気後退懸念が警戒されたことに加え、英領ジブラルタル自治政府が先月拿捕したイランの石油タンカー「グレース1」を解放することを決定したことで中東情勢の悪化が和らいだことも弱材料となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。