[Vol.1135] 「風評被害」に耐えたプラチナ

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反落などで。72.25ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,784.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,760元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は480.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで849.25ドル(前日比1.35ドル縮小)、円建てで3,054円(前日比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月13日 18時25分頃 6番限)
6,518円/g 白金 3,464円/g
ゴム 236.2円/kg とうもろこし 38,060円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「風評被害」に耐えたプラチナ」

前回は、「環境活動家グレタ氏がいら立つわけ」として、現在の「脱炭素」が、ビジネス化していることについて、筆者の意見を述べました。

今回は、「「風評被害」に耐えたプラチナ」として、プラチナ価格の長期的な価格推移を振り返ります。

プラチナ相場は、2015年9月に発覚した、ドイツ自動車大手「フォルクスワーゲン」のスキャンダルを機に、プラチナの主用途である自動車排ガス浄化装置向け需要が減退するとの思惑が支配的になり、数年間にわたり、低迷を余儀なくされました。

同需要の減少が、需給統計で示されていないにも関わらず、です。あるアナリストは、このような、統計無視・思惑主導の価格推移を、「風評被害」と言いました。同感です。「風評」で下落したプラチナ相場に、同情を禁じ得ません。

フォルクスワーゲン・スキャンダル発覚→プラチナ需要減→価格下落、という流れが分かりやかったことが、プラチナ相場を長期低迷に追いやったわけです。「複雑なことは誤り」「わかりやすいことが良い」という社会の風潮も、下押し圧力となったと考えられます。

こうした値動きを経ても、ぐっと歯を食いしばって底堅く推移し、価格反発の予兆が見え始めたプラチナ相場は、2022年、どのように推移するのでしょうか。

次回以降、2022年のプラチナ相場の筆者の見方を、説明していきます。

図:プラチナと金の価格推移(年間平均) 単位:ドル/トロイオンス


出所:ブルームバーグより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。