[Vol.1137] 2022年のプラチナ、上昇圧力が勝るか

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。70.05ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,770.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,605元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年02月限は460.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで866.75ドル(前日比5.35ドル拡大)、円建てで3,116円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月15日 18時30分頃 6番限)
6,456円/g 白金 3,340円/g
ゴム 232.1円/kg とうもろこし 37,940円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2022年のプラチナ、上昇圧力が勝るか」

前回は、「2022年は「コロナ・脱炭素」の「3年目」」として、2022年のプラチナ価格の動向を考える上で、重要だと考える長期的な視点における2022年の意味について、筆者の考えを述べました。

今回は、「2022年のプラチナ、上昇圧力が勝るか」として、筆者が考える、2022年のプラチナ市場にかかる、上昇圧力と下落圧力の全体像について、述べます。

2022年は、ほぼ常に、下落圧力と上昇圧力の両方が存在すると考えます。とはいえ、拮抗したままではなく、どちらかといえば、上昇圧力が勝る時間帯の方が、長くなると考えます。2022年が「コロナ・脱炭素」が本格化して間もない3年目であることが、大きな要因です。

下落圧力となる要素には、「脱炭素」ブームによって、ガソリン車やディーゼル車が否定され、排ガス浄化装置向けの貴金属の需要が減少する懸念が生じること(あくまで懸念)、コロナの変異株が新たに確認されるなど、突発事象により株価が下落することが挙げられます。

一方、上昇圧力となる要素には、「コロナ」が、鉱山生産を減少させる懸念を生むきっかけとなること、「脱炭素」が、「水素社会」にプラチナが貢献する期待を高めるきっかけになることなどが、挙げられます。

2022年は、上記のような上昇圧力と下落圧力が継続する中で、比較的、上昇要因が勝る時間帯の方が長くなる可能性があり、その結果として、価格上昇が見られると、考えます。

次回以降、「コロナ」が、鉱山生産を減少させる懸念を生むきっかけとなることと、「脱炭素」が、「水素社会」にプラチナが貢献する期待を高めるきっかけになることについて、深堀りします。

図:2022年のプラチナ市場の環境(筆者予想)


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。