[Vol.1139] 2022年もプラチナの需給バランスは引き締まるか

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。71.44ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,808.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年05月限は14,605元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年02月限は469.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで876.4ドル(前日比7.1ドル拡大)、円建てで3,144円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月17日 17時49分頃 6番限)
6,594円/g 白金 3,450円/g
ゴム 230.7円/kg とうもろこし 37,830円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「2022年もプラチナの需給バランスは引き締まるか」

前回は、「本格的な「ディーゼル否定」には至らない」として、2022年のプラチナ市場における、「脱炭素」起因の下落圧力について、筆者の考えを述べました。

今回は、「2022年もプラチナの需給バランスは引き締まるか」として、プラチナの需給バランスの推移に注目します。

南アフリカは、世界のプラチナの鉱山生産のおよそ65%を生産しています(2020年時点)。2位のロシアがおよそ13%であるため、まさにプラチナは偏在している(偏って存在している)と、いえます。

その南アフリカのプラチナの鉱山生産量は、コロナ元年となった2020年に大きく減少しました。南アフリカは、以前の「原油暴落、金(ゴールド)は上昇。変異株拡大を抑える手立てとは?」で述べたとおり、複数の変異株が発生した地域とされています。

コロナ感染拡大により、地中数千メートルまで掘り下げた鉱山での作業がやりにくくなっている、市中での感染拡大が発生し、国の機能が一部、低下している、などが、その背景だと、考えられます。

先述の「脱炭素」の環境下でも、自動車排ガス浄化装置向け需要は、急減せずに一定程度、存在すること、そして、鉱山生産量が不安定化していることにより、以下の通り、2020年は、プラチナの需給バランスは大きな供給不足になりました。

「コロナ・脱炭素」本格化、3年目の2022年も、この傾向が続くと筆者は考えています。

図:プラチナの需要と供給、および需給バランス 単位:トン


出所:ジョンソンマッセイのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。