[Vol.1156] 火力発電において石炭比率が高い国

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。82.17ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,827.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は15,185元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年03月限は527.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで849.55ドル(前日比0.35ドル拡大)、円建てで3,098円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月14日 17時10分頃 6番限)
6,672円/g 白金 3,574円/g
ゴム 246.0円/kg とうもろこし 39,490円/t

●NY天然ガス先物(期近) 日足  単位:ドル/百万英国熱量単位


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「火力発電において石炭比率が高い国」

前回は、「天然ガス版OPEC、「GECFプラス」とは?」として、欧州委員会が天然ガスと原子力を「脱炭素」推進に資するエネルギーであるとの見方を示したことにより、メリットを享受する可能性があるグループについて書きました。

今回は、「火力発電において石炭比率が高い国」として、欧州委員会がお墨付きを与えることを示唆した天然ガスの、火力発電向けの需要について書きます。

天然ガスを積極的に使用するムード(≒石炭を使用することを否定するムード)が強まると、これまで火力発電の分野において石炭を多用していた国々が、天然ガスにシフトする可能性があります。

以下は、火力発電において石炭のシェアが高い国のランキングです。

IEA(国際エネルギー機関)のデータによれば、火力発電における石炭のシェアが70%を超える国は、8つあります。そのうち、全体に占める火力発電の割合が50%を超える国は6つあります。発電量が世界屈指のインド、中国、再生可能エネルギー由来や原子力の割合が低い、東欧のセルビア、ポーランド、ブルガリアなどです。

こうした国では、「脱炭素」推進のため、原発を新設したり、圧倒的な規模の再生可能エネルギー由来の発電施設を整備したりするまでの間、火力発電を継続させるため、その燃料を石炭から天然ガスにシフトする可能性があります。

原発新設も圧倒的な規模の再生可能エネルギー由来の発電施設の整備も、非常に難易度が高いため、目先しばらくは、火力発電による発電を継続させることになるとみられ、その間、世界的な天然ガスの需要が増加する可能性があります。

この点は、天然ガス価格を長期的に押し上げる要因になるとみられます。

図:火力発電における石炭消費の割合(70%超) (2021年9月時点)


出所:IEA(国際エネルギー機関)のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。