[Vol.1259] 「明るい金(ゴールド)の話」は可能(1)」

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。116.94ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,846.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,780元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年08月限は732.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで901.15ドル(前日比1.1ドル拡大)、円建てで3,912円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月17日 13時17分頃 6番限)
7,909円/g
白金 3,997円/g
ゴム 254.0円/kg
とうもろこし 55,850円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「明るい金(ゴールド)の話」は可能(1)」

前回は、「人:感情を「不安」と「充足」に分けて考える」として、「人」の側面から金市場を観察しました。

今回は、「「明るい金(ゴールド)の話」は可能(1)」として、前回までの4回で述べた、「不安」抜きで金(ゴールド)市場を分析するために必要な「多角的な視点」を、まとめます。

「時代」「市場」「人」という三つの切り口から、「金(ゴールド)=不安」を否定的に見つつ、金(ゴールド)市場をできるだけ(暗くならずに)明るく観察することを心がけてきました。こうすることで見えてきた重要なポイントは、以下の3点です。

・過去の常識・成功を捨てる
・市場環境が激変したことを認識する
・「充足」も行動のきっかけになることを認識する

この3点を実践しようと心がけることは、実は「時代」の箇所で述べた「求められる人物像」である「変化に順応でき、強じんな心と高いコミュニケーション力を有する人」に近づこうとすることと、ほとんど同じ意味です。

過去の常識・成功を捨てる→過去に執着しない「強じんな心」をはぐくむ、市場環境が激変したことを認識する→「変化に順応」しようとする、「充足」も行動のきっかけになることを認識する→「充足」と「不安」を明確に区別・認識できるような「コミュニケーション時に重要なメタ認知力(幅広い視野で考える力)」を育成する、ということです。

つまり、現在、社会で示されている「求められる人物像」に近づこうとすればするほど、「金(ゴールド)=不安」という短絡的な世界と決別することに近づき、さらには、今の金(ゴールド)市場と「不安抜き」で向き合う状態に近づくことを意味するわけです。

「求められる人物像」に近づく意識を持てば、「不安」と距離を置いた、新しい側面から分析を試みる「明るい金(ゴールド)の話」は可能です。「明るい金(ゴールド)の話」をするヒントは、「求められる人物像」にあったと言えるでしょう。

今回(前編)で述べた内容は、「不安だけ」で金(ゴールド)市場を説明する過去の試みと全く異なる、時代背景をとらえ、変化に柔軟で、全体観を網羅した、魔性の度合いを増した「今」の金(ゴールド)市場を説明するために不可欠な内容だと筆者は自負しています。

不安を否定しても、金(ゴールド)市場を分析することはできます。かえってその方が、分析の幅を広げて、良い結果をもたらす可能性が高くなると、筆者は考えます。分析手法は時代の変遷とともに、変わるべきです。そうでなければなりません。

次回の後編は、今回触れなかった「投資リテラシー」のほか、金(ゴールド)投資の必須3スキル、初級者、中級者、上級者ごとの、具体的な金(ゴールド)投資のアイデアについて、述べます。ぜひご覧ください。

図:「求められる人物像」が「不安抜き」で金(ゴールド)市場を分析するヒント


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。