[Vol.1263] 金(ゴールド)投資、初級・中級

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。103.14ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,834.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は12,680元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年08月限は681.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで909.4ドル(前日比3.25ドル縮小)、円建てで3,973円(前日比34円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月23日 11時43分頃 6番限)
7,964円/g
白金 3,991円/g
ゴム 253.8円/kg
とうもろこし 52,820円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「金(ゴールド)投資、初級・中級」

前回は、「できるだけ「不安」の力を借りないこと」として、金(ゴールド)投資を行う上で欠かせない3つのスキルのうち、(2)材料の影響力を足し引きすること、(3)できるだけ「不安」の力を借りないこと、について述べました。

今回は、「金(ゴールド)投資、初級・中級」として、投資リテラシーが初級と中級の方になじむと考えられる、金(ゴールド)投資の商品を述べます。

今回と次回は、級別に金(ゴールド)投資の際の具体的な投資商品について、述べます(級は筆者の主観です)。初級は「純金積立」と「投資信託」です。ともに、毎月一定額を投資する「積立購入」と、都度購入する「スポット購入」が可能です。

この2つの投資商品の共通点は、「買い物」の感覚に近く、初級の方にもなじみやすいと考えられる点です(当然リスクは有)。当社の純金積立と投資信託の取引画面の一部には、「購入」の文字が使われています(株式の取引画面には「注文」や「取引」が使われている)。

また、「積立投資」の特徴は、今、手元にない資金を、将来購入する際の予定額に組み込むことができることです。毎月1万円ずつ30年間、積立をするとした場合、必ずしも今、360万円もの資金が手元になくても、取引を開始することができます。

「積立」は一度に購入してしまわずに、時間を分散して購入していく、「長い時間をかけて行う取引」と言えます。その意味では、金(ゴールド)の積立投資の場合は、「[Vol.1261] 金(ゴールド)投資の必須スキル3つ」で述べた、時間軸の長い「超長期」のテーマに注目することになります。

「超長期」のテーマに挙げた「大局的な社会変化への対応」が進むことにより、「不安回避」と「充足促進」の両面から(不安のみではない)、超長期視点で金(ゴールド)市場に資金が流入し、価格が底上げされる可能性があると、筆者はみています。

こうした超長期的な価格上昇は、「長い時間をかけて行う取引」である「積立」の追い風になるでしょう。

中級は「ETF(上場投資信託)」と「関連個別株」です。これらは、テクニカル分析で売買のタイミングを計ることができます。テクニカル分析とは、過去の値動きなどをもとに計算された、さまざまなテクニカル分析指標を手掛かりに、市場を分析する手法のことです。

テクニカル分析指標は、チャート(グラフ)に描画する「トレンド系」と、チャートの下の枠に表示する「オシレータ系」に分かれます。トレンド系は価格推移の方向性を、オシレータ系は振れ幅が行き過ぎているかいないか(売られ過ぎか買われ過ぎか)を示します。

トレンド系とオシレータ系、両方のテクニカル分析指標を参照した上で、諸材料が価格を押し上げ得る状況かどうかを確認することが重要です。個別株もETFのように、テクニカル分析指標を用いて売買のタイミングを計ることができます。

図:金(ゴールド)市場の値動きと7つのテーマの考え方


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。