週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比0.01ドル安の56.24ドル、ブレント原油は0.08ドル高の60.88ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。対ユーロでのドル高進行や米国で発生した大型ハリケーンの接近で石油需要の下振れが懸念されていることが嫌気された。

 先週は米中通商問題や米経済指標の悪化が上値を抑える一方、香港の逃亡犯条例改正案の撤回や中国の良好な経済指標が投資家心理を改善させ上昇すると、往って来いの展開となった。週明けは米国がレイバーデーで休場となる中で薄商いだったものの、週末の弱い流れを引き継ぐ形で軟調に推移すると、米中貿易戦争への懸念やドル高が重しとなり下落した。翌3日は米製造業景況指数が2016年1月以来の低水準な内容となったことで株式市場が下落、原油も需要の下振れ懸念から売りが強まる格好となった。また、トランプ大統領が米中通商協議は順調だと語る一方、自身が再選された場合の2期目まで協議が長引く場合には強硬姿勢をとると牽制したことも嫌気された。週中にかけては大幅反発。香港の逃亡犯条例の改正案が完全撤回されたことや英下院が欧州連合(EU)からの合意なき離脱を阻止する法案を可決したことで投資家心理が改善され、株高推移したことに支えられた。また、8月の中国サービス業購買担当者景況指数が3か月ぶりの高水準だったことも好感された模様。週末にかけては10月上旬に米中がワシントンで閣僚級の通商協議を行うと発表したことが好感され上昇すると、EIA統計で原油在庫が477万B減少と予想を上回る減少幅となり、製品に関しても予想以上に減少していたことから上げ幅を広げる展開となった。ただし、買いが一巡すると上値では利益確定売りに押され上げ幅を縮小した。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。