[Vol.1278] バイデン氏がサウジに出向き原油増産の直談判に

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。93.69ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,713.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,055元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年09月限は628.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで901.05ドル(前日比3.35ドル拡大)、円建てで4,005円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月14日 18時00分頃 6番限)
7,638円/g
白金 3,633円/g
ゴム 244.0円/kg
とうもろこし 47,340円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「バイデン氏がサウジに出向き原油増産の直談判に」

前回は、「共和党支持者を取り込むべく物価高鎮静化が急務」として、米国国民の関心事について、確認しました。

今回は、「バイデン氏がサウジに出向き原油増産の直談判に」として、米国国内における米民主党への支持状況について、確認します。

今週、原油市場の供給懸念を解消させる一要素を発生させるべく、バイデン大統領がサウジアラビアを訪問します(「一要素」としたのは、この策がインフレ沈静化の決定打ではないため。決定打はウクライナ危機鎮静化)。

目先、サウジに増産をさせることの方が、ウクライナ危機を鎮静化させることよりも、難易度が低いと踏んだ可能性があり、この点が、インフレ退治を喫緊の課題ととらえるバイデン氏がサウジ訪問を決めた理由だと、考えられます。

以下のグラフのとおり、実は今、バイデン氏が属する民主党の支持状況が悪化しつつあります。このことは、「インフレ」を喫緊の課題とする共和党支持者が増加していることと同様、バイデン氏に吹く逆風といえます。

民主党支持者における「強く支持する」(灰線)、全体における「強く支持する」(青線)は、ウクライナ侵攻後、最低を更新しています。

もし今、バイデン氏が、サウジとの交渉をうまくまとめ、中東地域での米国の影響力を回復させることができれば、米国の「世界の警察」復活を印象付けたり、安定した政権運営を行っているとの見方が広がったりして、民主党支持者からの支持を取り付けやすくなります。

サウジ訪問の主目的は「原油増産の直談判」とされていますが、上記の「中東地域での影響力復活」もまた、大きな目的の一つでしょう。これらをまとめて達成できれば、バイデン氏は共和党支持者・民主党支持者、両方の支持を取り付けることができるでしょう。

果たしてバイデン氏は、選挙に向け、これらの目的を達成することができるのでしょうか。バイデン氏は、7月13日(水)~16日(土)にイスラエル、パレスチナ、サウジアラビアを訪問する予定です。

図:米民主党(バイデン氏所属)支持状況 単位:%
図:米民主党(バイデン氏所属)支持状況 単位:%

出所:米キニピアック大学のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。