[Vol.1294] 原油相場は下落・石油株は上昇

著者:吉田 哲
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原油反落。世界景気が後退する懸念などで。87.56ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,798.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は13,255元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年09月限は665.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで864.3ドル(前日比2.2ドル縮小)、円建てで3,751円(前日比24円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月8日 19時46分頃 6番限)
7,684円/g
白金 3,933円/g
ゴム 232.8円/kg
とうもろこし 46,190円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油相場は下落・石油株は上昇」

前回は、「年末まで商品市場は緩やかな価格上昇を演じる?」として、筆者が考えるコモディティ市場の全体像のイメージを述べました。

今回は、「原油相場は下落・石油株は上昇」として、原油相場と関連個別株の推移を確認します。

原油相場の下落が目立っています。以下のグラフのとおり、ウクライナ危機勃発(今年2月)前の水準を割り込んでいます。複数の下落要因が重なっているためです。

一方、INPEX(1605)やシェブロン(CVX)は、ウクライナ危機勃発前の水準を割っておらず、むしろ足元、反発色を強めています。NYダウなどの米国の主要株価指数が反発し、個別株も物色されやすくなっていると、考えられます。

また、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは、今年3月から、上記の2つの石油株よりも上昇率が高いオクシデンタルペトロリアム(OXY)を、買い続けています。(オクシデンタル社の開示資料より)

今、「株価上昇=それを保有している人の資産が増加」、「原油相場下落=物価高(インフレ)が沈静化」が、同時進行しているわけです。次回以降、原油相場が下落している背景、主要産油国の状況、今後の展開について、筆者の考えを述べます。

図:原油相場と関連個別株の推移(2022年2月24日を100)
図:原油相場と関連個別株の推移(2022年2月24日を100)

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。