[Vol.1358] 「溝」がコモディティ投資を面白くする?

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。88.78ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,765.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年01月限は12,590元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年12月限は677.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで698.85ドル(前日比0.15ドル拡大)、円建てで3,358円(前日比23円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月11日 16時31分頃 6番限)
7,970円/g
白金 4,612円/g
ゴム 217.0円/kg
とうもろこし 48,200円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『溝』がコモディティ投資を面白くする?」
前回は、「気候変動問題の『溝』当事者たちのホンネは?」として、当事者の種類とそれらのホンネについて、筆者の考えを述べました。

今回は、「『溝』がコモディティ投資を面白くする?」として、これに関連するプラチナ価格の推移について、書きます。

前回述べた「溝」が与える、コモディティ市場への影響を考えます。「溝」が存在することは、少なくとも二つの異なる存在があることを意味します。

コモディティ市場における二つの異なる存在は、売り手(生産国)と買い手(消費国)です。この2者は、基本的に平等の立場にあります。「上昇」が多数の正義となる、株式市場と大きく異なります。

短期視点では、生産国の思惑が市場を支配する場面もありますが、長期視点では、価格が上がりすぎれば買ってもらえなくなるリスクが高くなるため、一定の水準で価格上昇に歯止めをかける力が働きやすくなります。

価格が下がりすぎれば、売ってもらえなくなる(生産できなくなる)リスクがあるため、一定の水準で価格下落に歯止めをかける力が働きやすくなります。

長期視点で、多くのコモディティ銘柄の値動きの源泉は、「売り手」と「買い手」、双方でつくる「溝」にあると言えます。

こうした考えをもとにすれば、例えば、過去の「記録的な高値(≒一定水準の行き過ぎた高値)」と「記録的な安値(≒一定水準の行き過ぎた安値」は、相場トレンドの転換点と考えることができるでしょう。

現在のプラチナは、長期視点のこうした高値と安値を意識した見通しを立てやすい環境にあると、考えます。

気候変動問題への世界的な取り組みは、数十年単位で進む可能性があるため、今回のCOP27で全てがうまく前進するわけではありません。とはいえ、長期視点で、人類はそれを共通の課題であると認識し、対策(脱炭素)が進む可能性があります。

それによって、新しいプラチナの需要が生まれ、価格が長期視点で上昇する可能性があると、考えます。

図:プラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス
図:プラチナ価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。