[Vol.1369] 中国企業が資金の主な供給源

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。79.03ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,755.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年01月限は12,840元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年01月限は573.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで741.15ドル(前日比0.15ドル拡大)、円建てで3,440円(前日比10円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月29日 17時39分頃 6番限)
7,796円/g
白金 4,356円/g
ゴム 214.0円/kg
とうもろこし 46,400円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「中国企業が資金の主な供給源」
前回は、「最高額の資金が動くカタールW杯」として、世代表チームやクラブに対してFIFAが行った財政的貢献について述べました。

今回は、「中国企業が資金の主な供給源」として、カタール大会に向けたパートナー企業、スポンサー企業の拠出額について述べます。

以下のグラフは、カタール大会のために、FIFAのパートナー企業、スポンサー企業が拠出した資金の額を示しています(1年あたり。カタールでの開催決定は2010年)。vivo、万達集団(ワンダグループ)、など中国の企業が多額の資金を拠出していることがわかります。

中国企業の他、コカ・コーラ、Visaなどの米国の企業、カタール航空、カタールエナジーなどの開催国カタールの企業、アディダス(ドイツ)、ヒョンデ モーター(韓国)、Crypt.com(シンガポール)などもあります。

大会期間中、試合中のピッチ周辺に広告として掲示されるこうした企業たちのロゴは、インターネットでの視聴を含めると50億人とも言われる視聴者の目に入ります。

W杯の競技場を作るために、違法な労働が発生した(人権問題の上に競技場が存在する)可能性があることを、ドイツをはじめ、複数の欧州の国が指摘していますが、このことは今大会のパートナー企業、スポンサー企業に名乗りを上げた欧州の企業が少なかった一因と考えられます。

サッカーの最高峰の大会であるW杯のパートナー・スポンサーにおいて中国の企業が支配的であることが、「[Vol.1365] 近年、民主的な国は減少傾向に」で述べた、世界全体において、民主的でない国家が支配的になりつつあることと重なるのは、筆者だけではないはずです。

図:カタール大会に向けたパートナー企業、スポンサー企業の拠出額(年あたり) 単位:百万ドル
図:カタール大会に向けたパートナー企業、スポンサー企業の拠出額(年あたり) 単位:百万ドル

出所:raconteur.netのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。