[Vol.1384] 「まし」な利上げが複数経路で上昇圧力をかける

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。75.36ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,812.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年05月限は12,720元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年02月限は535.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで814.9ドル(前日比4.9ドル拡大)、円建てで3,492円(前日比20円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月20日 17時53分頃 6番限)
7,682円/g
白金 4,190円/g
ゴム 223.9円/kg
とうもろこし 43,670円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『まし』な利上げが複数経路で上昇圧力をかける」
前回は、「2023年のプラチナ相場、価格反発を予想」として、筆者が考える2023年のプラチナ相場のレンジについて、述べました。

今回は、「『まし』な利上げが複数経路で上昇圧力をかける」として、筆者が考える2023年のプラチナ市場を取り巻く環境について、述べます。

2023年については、以下のようなサイクルが発生する可能性があると、考えています。最悪よりも「まし」な状況が、複数経路でプラチナ相場を支える展開です。

市場は「事前予想よりも弱い」米国のCPI(消費者物価指数)と、「3倍速(0.75%)よりも小さい」利上げを、「まし」(最悪を回避できた)と解釈する節があります。このため、こうした「まし」は、「緩やかな」需要増加期待を膨らませる一因になり得ます。

「まし」な利上げが引き起こす「ドル安」は、貴金属のリーダー格である金(ゴールド)相場を上昇させて、プラチナなどの他の貴金属銘柄の価格をけん引したり、他通貨建て商品に対するドル建て商品の割安感を醸成したりする要因に、なり得ます。

「緩やかな需要増加期待」は、株価を上昇させたりリスクオンのムードを醸成したりして、産業用や宝飾用の貴金属需要を回復させる要因になり得ます。

また、以前の「[Vol.1380] 最悪よりも『まし』な利上げで価格上昇を予想」で述べたような、2023年末に利上げの温度感の低下が目立つ展開になれば、以下のサイクルが加速する可能性もあります。

図:2023年のプラチナ市場を取り巻く環境(筆者予想)
図:2023年のプラチナ市場を取り巻く環境(筆者予想)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。