[Vol.1409] インフレの動向は地域別の判断が必要

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。81.49ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,925.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所) 春節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心) 春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで910.75ドル(前日比3.75ドル拡大)、円建てで3,831円(前日比21円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月27日 16時32分頃 6番限)
8,029円/g
白金 4,198円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし -円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「インフレの動向は地域別の判断が必要」
前回は、「米国の先物市場は『年末の利下げ』を催促」として、市場のFF金利見通しの推移について、述べました。

今回は、「インフレの動向は地域別の判断が必要」として、2023年のコモディティ(国際商品)市場を巡る環境について、筆者の考えを述べます。

2023年のインフレ動向について考える際は、欧州主要国と米国を分ける必要があります。「欧州主要国ではインフレ継続」、「米国はインフレ峠超え」、という具合です。想定される、コモディティ(国際商品)市場への影響は、それぞれ以下のとおりです。

欧州主要国では、ウクライナ危機が継続する以上、地域内でのエネルギーの需給ひっ迫は避けられません(制裁の応酬「買わない西側・出さないロシア」が続く)。

それにより、2022年と同様、高水準のインフレに悩まされたり、その過程で発生するエネルギー相場への上昇圧力が、世界全体に波及し続けたりする可能性があります。(コモディティ価格を押し上げる要因)

米国では、予想よりも弱いCPIが続けば、「利上げの温度感低下」が進み、[Vol.1401] 利下げ催促「市場」vs利上げ継続「FRB」で述べたとおり、春から年末にかけて5%前半で横ばい推移し(利上げ打ち止め)、年末に4%台に低下する可能性があります。

こうした「利上げ打ち止め」「利下げ」は、個人・企業の資金調達を促し、米国の景気が回復する期待を増幅させる要因になり得ます。(コモディティ価格を押し上げる要因)

2023年、欧州主要国、米国いずれにおいても、インフレを取り巻く環境が起点となり、コモディティ市場に上昇圧力がかかる可能性がある点に留意することが必要です。引き続き、毎月の米国および欧州主要国のCPI(予想と実態)に、注目です。

図:2023年のコモディティ(国際商品)市場を巡る環境(筆者イメージ)
図:2023年のコモディティ(国際商品)市場を巡る環境(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。