NY金、三尊から保合いへ移行

著者:菊川 弘之
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 世界的な景況感の悪化見通しが強まる中、前週末に行われた米中貿易協議は部分合意となり、一旦はリスクオンから金の売り要因となったが、週明け「中国高官が購入額や期限について異議を唱えている」と報じられ、合意事項が履行されない可能性が意識された。

 更に、米下院は15日、香港の自治と人権の擁護を目的とする「香港人権・民主主義法案」を発声投票で可決。法が成立するには上院でも通過し、大統領が署名する必要があるが、超党派の支持を得ており、上院でも可決見通し。トランプ大統領は、法案を対中貿易協議のカードとして利用するとの見方があり、協議の進展状況を見極めながら署名するかどうかの判断を下すとみられる。

 法案は、香港に認めたビザ発給や関税などの優遇措置継続の是非を判断するため、「一国二制度」に基づく香港自治が十分に機能しているかどうかについて年次報告書の作成を国務省に義務付けている。

 これに対して、中国政府は16日、「香港人権・民主主義法案」を米議会が可決させた場合、強力な報復措置を講じると示唆した。

 11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に合わせて、米中首脳会談を開き、合意文書に署名と言う流れに不透明感が広がっている。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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