[Vol.1723] 積立効率化のコツ「低迷銘柄を探すこと」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。79.75ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,379.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,130元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年06月限は624.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1375.1ドル(前日比25.60ドル拡大)、円建てで6,920円(前日比29円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月10日 18時16分時点 6番限)
11,890円/g
白金 4,970円/g
ゴム 307.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「積立効率化のコツ『低迷銘柄を探すこと』」
前回は、「『保有数量』は価格推移と同じくらい重要」として、筆者が考えた積立シミュレーション(3パターンの累積保有数量)について述べました。

今回は、「積立効率化のコツ『低迷銘柄を探すこと』」として、国内大手地金商金(ゴールド)・プラチナ価格(税込)について述べます。

積立取引においては、「価格が安い(ゼロ付近での低迷ならなお良い)=保有数量が増えやすい」と言えるでしょう。保有数量が効率的に増えれば、それだけ資産の額(保有数量×価格)を大きくしやすくなります。だからこそ、価格が長期低迷を強いられても大きな利益が出るのです。逆に暴騰してしまうと、前々回述べたような大きな利益を生むことはできません。

この数回で述べたシミュレーションをもとに考えれば、積立投資に適した銘柄の特徴は、「そもそも低迷していること」だと言えます。そして、暴騰パターンのような史上最高値を維持・更新し続ける銘柄は、積立投資には向いていないと言えます。

株価がそもそも安い銘柄を保有することをためらう方は多いと思います。ですが、積立投資であれば、目の前で起きている低迷は保有数量を普段以上に増やす好機だと言えます。低迷しているときこそ、積立投資の本質を再確認することをお勧めします。

筆者は、積立投資家にとって「低迷は利用するもの」だと考えています。ただし、留意点があります。数十年後に価格が上昇する可能性がなければダメです。

低迷時に効率よく増やした数量を利益に変えるためには、最終的には価格上昇が必要です。まとめると、「そもそも低迷していること」そして「数十年後に価格上昇が起き得ること」が、積立投資に適した銘柄の特徴だと言えるでしょう。

具体的な銘柄は「プラチナ」です。プラチナは長期視点で低迷状態にありますが、超長期視点で、水素社会で活躍する可能性があります(グリーン水素の精製装置や燃料電池車の発電装置の電極部分で活躍できる)。

また、風評被害とも言われているフォルクスワーゲン問題発覚後の需要減退の思惑から解放されつつあることも、長期視点の需要増加観測を強めています。

プラチナ価格は、以下のように「低迷」しています。今はまだダメかもしれませんが、筆者は長期視点のプラチナ価格の反発に期待をしています。積立投資を効率化する条件(そもそも低迷していること、数十年後に価格上昇が起き得ること)を満たすプラチナに長期視点の期待を寄せてみては、いかがでしょうか。

図:国内大手地金商金(ゴールド)・プラチナ価格(税込) 単位:円/グラム
図:国内大手地金商金(ゴールド)・プラチナ価格(税込) 単位:円/グラム

出所:国内大手地金商のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。