[Vol.1763] 先物市場の創設は盗難防止の機運を生む

著者:吉田 哲
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原油反発。中国の原油備蓄在庫積み増しの報道などで。84.13ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,374.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,580元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は635.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1351.9ドル(前日比4.10ドル縮小)、円建てで7,041円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月5日 16時57分時点 6番限)
12,256円/g
白金 5,215円/g
ゴム 321.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「先物市場の創設は盗難防止の機運を生む」
前回は、「盗難撲滅は横断的な対応で実現できる」として、溶解・保管の段階でできる認証制度(筆者イメージ)について述べました。

今回は、「先物市場の創設は盗難防止の機運を生む」として、金属スクラップ先物市場の創設の意義について筆者の考えを述べます。

前回述べたとおり、横断的な対応を実施することで、流通段階における盗難品の排除、トレーサビリティの強化、円滑な流通が実現できると考えられます。以下の通り、流通段階に貢献し得る先物市場には、公正な価格の発見、現物調達手段の多様化、ヘッジ機能の提供、投資機会の創出などの役割があります。

これらの役割を金属スクラップ先物市場(仮称)が強く果たしていくことで、日本に正しく管理された流通経路や価格が生まれ、それが抑止力となって、社会問題になっている金属盗難を減らすことができると考えます。

以前の「[Vol.1759] 米国で続く自動車排ガス浄化装置盗難」で述べたとおり、米国における自動車排ガス浄化装置の盗難件数は、貴金属価格が下落してもなお、高水準のままです。日本においては、価格が高騰していても盗難を減らすことができる仕組み作りを行っていかなければなりません。それには、業界を横断した動きが必要不可欠です。

ある意味、金属を買い取り、溶解して形を変えることは「作る」ことであり、それを使用することは「使う」ことだといえます。そもそもこの金属盗難の問題は、実はSDGsのテーマの一つである「作る責任・使う責任」と深く関わっているといえます。

実は、金属窃盗を食い止めようとする全体的な動きは、盗難件数の減少や正しい品の流通を促進することだけでなく、国際的な発信力を強めることにもつながります。盗難が増えているというピンチを、チャンスに変えていけるよう、横断的な取り組みが期待されます。

図:金属スクラップ先物市場の創設の意義
図:金属スクラップ先物市場の創設の意義
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。