[Vol.1807] 投資の第一歩は興奮と危機管理の切り分け

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.64ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,524.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,880元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年10月限は512.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1590ドル(前日比9.70ドル縮小)、円建てで7,238円(前日比43円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月9日 16時37分時点 6番限)
11,534円/g
白金 4,296円/g
ゴム 361.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,874.0円/mmBtu(24年12月限 24年9月6日17時57分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「投資の第一歩は興奮と危機管理の切り分け」
前回は、「『中央銀行』は今後も強力な価格上昇要因に」として、米ドル通貨供給量と金(ゴールド)価格の推移を確認しました。

今回は、「投資の第一歩は興奮と危機管理の切り分け」として、人間の行動の動機(一例)を確認します。

「興奮」と「危機管理」は、人間の行動の動機の代表例です。脳や身体が今まさに興奮状態にあったり、遠い将来を想像してばくぜんとした不安・危機を感じたりすると、人間はそれを動機として、行動を起こすことがあります。

行動の動機という共通点があるものの、これらには明確に異なる点があります。以下の通り、心理状態に注目すると、興奮がドキドキ、ハラハラ、一喜一憂、多くが無意識、などである一方、危機管理はじっくり、がっぷり四つ、冷静、多くが意識的、などが挙げられます。

関連するキーワードに注目すると、興奮が受動、扇動、非選択、生物(いきもの)、他責、中毒、高温、動物などが挙げられる一方、危機管理は能動、内省、選択、人間、自責、自我、低温、植物などが挙げられます。

また、以前の「[Vol.1794] 市場関係者は『四つのゾーン』を意識したい」で述べた「四つのゾーン」における快適・恐怖ゾーンに興奮が、学習・成長ゾーンに危機管理が当てはまります。

行動の動機を「興奮」と「危機管理」に切り分けることによって、「時間軸」が明確になります。興奮が動機となり起きる行動はおおむね「短中期」、危機管理が動機となり起きる行動はおおむね「中長期・超長期」に分類できます。このことは、以前の「[Vol.1802] 『局面』と『時代』に分けて分析する必要性」で述べた局面と時代に通じます。

投資の第一歩として、銘柄選びをイメージされる方は多いかもしれません。しかし、そのさらに前段階として、今行おうとしている投資が、興奮をきっかけとした投資なのか、危機管理をきっかけとした投資なのか、という問いに答えることが重要です。

あらかじめこの問いを通じて投資の時間軸を明確にすることで、これからしようとしている投資が、投機的な短期売買なのか、長期資産形成なのかの自覚が芽生えます。これにより、「とりあえず投資」というあいまいな世界に入ることを回避できます。

また、こうした自覚があれば、投資を続けている中で価格の乱高下に見舞われた時でも、取引をやめるのか続けるのかを、根拠を持って判断する(意味づけをする)ことができます。投資を行う上で、根拠を持って行動することは、大変に重要です。

図:人間の行動の動機(一例)
図:人間の行動の動機(一例)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。