[Vol.1906] 中央銀行の金(ゴールド)保有量は増加へ

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.53ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,881.61ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は17,290元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年03月限は599.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1867.06ドル(前日比0.14ドル縮小)、円建てで9,361円(前日比21円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月6日 18時20分時点 6番限)
14,097円/g
白金 4,736円/g
ゴム 375.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「中央銀行の金(ゴールド)保有量は増加へ」
前回は、「世界分裂が加速して高インフレ長期化へ」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「中央銀行の金(ゴールド)保有量は増加へ」として、中央銀行における金(ゴールド)保有時の意思決定に関連するトピックを確認します。

各国の中央銀行は、自国の雇用と物価の安定を実現すべく、政策金利の上げ下げや通貨の流通量の調整、対外的に何かあった場合への備えである外貨準備高の調整などを行っています。そして金(ゴールド)は、中央銀行が保有する外貨準備高の一部でもあります。

以下は、WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が実施した中央銀行向けのアンケートで、金(ゴールド)保有時の意思決定に関連するトピックは何ですか?という質問に寄せられた回答です。

先進国の中央銀行、新興国の中央銀行はともに、金(ゴールド)を長期的な価値保全の手段、危機時にパフォーマンスを発揮してくれる資産、デフォルトのリスクがない資産などと見なしていることがうかがえます。

また、新興国の中央銀行の中には、米国などの先進国から「制裁」を科されることを意識し、それがもたらす影響を軽減する手段として金(ゴールド)を見つめている、などの特徴もあります。

中央銀行全体の金(ゴールド)の買い越し量は、世界分裂が目立ち始めた2010年ごろ以降、高水準を維持しています。

トランプ氏が製造するさまざまな有事が中央銀行たちをさまざまな理由で駆り立て、今後も高水準の買い越しが、継続する可能性があります。2023年の中央銀行の金(ゴールド)の買い越し量は、全需要の2割強に達しました。トランプ氏の動向に関心を寄せる中央銀行の買いが、中長期視点の金(ゴールド)相場を支える要因になり得ます。

図:金(ゴールド)保有時の意思決定に関連するトピックは何ですか?(2024年)(複数回答可)
図:金(ゴールド)保有時の意思決定に関連するトピックは何ですか?(2024年)(複数回答可)
出所:WGCの資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。