週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比0.36ドル高の58.34ドル、ブレント原油は0.32ドル安の63.25ドルとなった。

 前週末29日は、月末の整理商いで大幅安となった。材料としては中国が香港人権法案に対する報復を検討していると報じられたことや、イラクの政権交代によるデモの鎮静化の可能性などが意識されたようだ。

 月が替わりOPEC総会を控え追加減産期待が高まった。週初め2日は、中国の製造業PMIが50を上回り3月以来の高水準となったことや、OPEC総会で日量40万B程度の追加減産がありうるとの関係者談が報じられたことで値を戻した。翌3日は小幅に反発。トランプ大統領が中国との1段階合意について来年の大統領選挙まで待つ可能性を示した、貿易摩擦長期化が意識され売られたが、OPEC総会への期待や米原油在庫減少予想を背景に戻し、若干のプラスサイドまで浮上した。4日は大幅に反発した。米中貿易協議がトランプ大統領のコメントに反し合意に近いと報じられたことや、米原油在庫が予想以上減少した(ただし製品は予想以上に増加した)ことやOPEC総会を翌日に控えた買戻しなどから、大幅上昇となった。ちなみに米在庫はAPIでは原油-370万、ガソリン+293万、留出油+79万、EIA統計では(同順)-485万、+338万、+306万と製品増が意識されても良さそうだがOPEC総会への期待が後押ししたようだ。6日のOPEC総会では翌日のOPECプラス会合に向け現状120万Bに加え50万B程度の追加削減が提案されることが決定した。また、ロシアの産油量からガス生産から生じるコンデンセートを除外することが決定した。会合前は期待の買いが強かったが、会合終了に向け、削減量を加味しても現状とさほど変わらない点などから利食い売られ上昇を帳消しにした。本日執筆時点は、OPECプラスの発表(概ね減産期間の有無とある場合その期間だけが関心事項と思われる)を控え前日と概ね同水準で推移している。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。