週刊石油展望

著者:児玉 圭太
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比1.42ドル安の58.07ドル、ブレント原油は1.30ドル安の62.49ドルとなった。

 前週末の原油市場はウクライナによるロシア南部のノヴォロシースク湾へのドローン攻撃を受けの石油貯蔵施からの輸出が停止したと伝わったことで供給懸念が高まり堅調な推移となった。今週週明けはノヴォロシースク湾からの石油輸出が再開したとの報から供給懸念が後退し軟調な推移となった。18日は米国の対ロ制裁への警戒感に加え、トランプ米大統領が次期FRB議長の選考を始めたと伝わり、利上げに前向きな人物が選出されるとの思惑からリスクオンムードが高まったことが支援材料になった一方で、供給過剰への懸念もあり、方向感が出づらい展開となった。19日は米国がウクライナに戦争終結案をのむように迫っていると伝わり、地政学リスクが後退したほか、EIA統計において石油製品在庫の増加が示されたことが嫌気され軟調な推移となった。20日は、ウクライナのゼレンスキー大統領が米政府に対し、ロシアとの和平案について協議する意向を示したことから地政学リスクが後退し軟調な推移となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は強弱材料が交錯する中で強弱まちまちな推移が想定されそうか。ウクライナが米政府と和平案について協議すると伝わったことから地政学リスクが後退したものの、和平案にはウクライナ以前拒否したロシアへの領土分割や軍縮などが盛り込まれており、合意には懐疑的な見方が強い。ウクライナがたびたびロシア石油施設への攻撃を仕掛けているほか、制裁の影響で石油製品価格が引き締まっており、供給懸念が意識されやすいことは下支えとなりそうだ。一方で引き続き産油国の増産で需給緩和懸念が根強いほか、好調な米経済指標を受けて12月の金利据え置き観測からドルが高止まりしていることは重しとなりそうであり、足元では方向感を探る展開が想定される。

 

 

商品取引ならOKACHI

このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。