週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.77ドル安の16.85ドル、ブレント原油は7.06ドル安の21.51ドルとなった。

 前週末の海外原油は、1~3月期の中国経済成長率がマイナス6.8%に落ち込んだことが嫌気された一方、欧米で経済活動再開に向けた動きが出始めたことで原油需要の回復が期待され強弱まちまちな展開となった。

 先週はWTI原油の5月限が納会絡みの動きで史上初のマイナス圏まで売られるなど波乱の展開となると、それに引きずられる形で他限月にもパニック売りが波及し大暴落する動きとなった。ただし安値からは買い戻されると、週末にかけては自律反発する格好で下げ幅を縮小している。週明け20日は21日にWTIの5月限が納会を迎える中、米国内の石油貯蔵スペースが限界に近付いていることから原油を処分したいと投げ売りされた結果、マイナス圏まで売られる未曽有の事態となった。買っても貯蔵スペースがなく、保有コストもかかることから売り方が買い方に支払いを行ってまで原油を引き取ってほしいとの思惑で売られ続けた結果、一時マイナス40.32ドルまで売られる格好となった。翌21日も弱い流れが続くと、直近の原油在庫が毎週1000万Bを超えるペースで積み上がっており、このペースで増加が続けば9週間程度で米国の貯蔵施設が満杯になるとの指摘から供給過剰感が警戒された格好となった。22日は安値から自律反発する形で上昇すると、OPECプラスが非公式のテレビ会議を行い、5月にも緊急会合を開催すると伝えられたことで追加減産への期待が高まり堅調な推移となった。週末にかけても買い戻しの流れが続くと、米国とイランの緊張感の高まりや産油国による減産強化への期待感が支えとなり続伸した。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。