週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前先週比0.22ドル安の39.09ドル、ブレント原油は0.55ドル安の41.49ドルとなった。

 前週末の海外原油は、前日にOPECプラスが減産順守率100%を目指した取り組みを続けると表明したことが引き続き材料視され続伸した。また、株高やリグ稼働数の減少にも支えられる格好となった。

 先週はWTI期近ベースで約3か月半ぶりに41ドルの高値を付けるなど週初めは堅調に推移したものの、新型コロナウイルスの感染第2波への警戒感や原油在庫の増加が嫌気され戻りを売られると、往って来いの展開となった。週明けは主要国で経済活動が再開する中で、NY連銀やFF連銀などの米製造業景況指数が大幅に改善していたことから企業の石油需要の回復が期待され上昇した。翌23日はナバロ米大統領補佐官が中国との通商合意は終わったと発言したことが警戒され軟調な推移となった。ただし、ナバロ氏がこの発言は文脈を無視して伝えられたと発言したことや、トランプ大統領が米中通商合意は無傷であり、今後も協議を続けていくとツイートしたことから、安値からは下げ幅を縮小した。翌24日は米国でコロナウイルスの1日の新規感染者数が過去2番目の増加となるなど、中南米やインド、ドイツなどで感染の拡大傾向が見られていることが警戒され急落した。また、EIA統計において原油在庫が予想以上に増加し、3週連続で過去最高を更新したことも嫌気された。週末にかけては前日に急落した反動から押し目買いが入ると、新規失業保険申請者数や耐久財受注といった米経済指標が改善していることや、石油需要が回復傾向にあることに支えられ反発した。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。