減産規模縮小は予定通り

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。39.77ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,795.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年09月限は10,600元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年08月限は292.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで956.5ドル(前日比5.4ドル拡大)、円建てで3,385円(前日比1円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月14日 20時1分頃 先限)
 6,199円/g 白金 2,814円/g 原油 28,450円/kl
ゴム 155.5円/kg とうもろこし 23,040円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減産規模縮小は予定通り」

前回は「6月は供給不足。石油需給は引き締まっている!?」として、今月、EIAが公表したデータから、世界の石油の需給バランスについて書きました。

今回は「減産規模縮小は予定通り」として、OPECプラスの減産に関わる、諸会合について報じられている“減産の規模縮小”について、書きます。

7月14日と15日、OPECプラスの一部のメンバーで構成され、OPEC総会に決議事項を勧告したり、減産順守率を公表したりする共同閣僚監視委員会(JMMC)と、OPECプラスやJMMCにデータを提供するなどの役割がある共同技術委員会(JTC)が開催されます。

今回のJMMCでは、OPECプラス全体の6月の減産順守率の公表のほか、8月以降の削減量の方針が示されます。

以下のとおり、4月12日の第10回OPEC・非OPEC閣僚会議で決定し、6月6日の第11回同会議で内容の一部が変更された、削減量について、8月から12月まで、日量770万バレルを削減することになっており、今回のJMMCでは、その確認をするとみられます。

日量970万バレルから770万バレルに削減幅を縮小することは、既定路線であるわけです。

また、削減量の変更がある場合、勧告するのはJMMCですが、決定するのはOPEC総会です。

現時点でOPEC総会が予定されていないことから(最も近いOPEC総会の予定は今年11月30日)、削減量の縮小は、淡々と行われるとみられます。

たしかに、新型コロナウイルスの感染拡大(中国以外の新興国の第1波、先進国の第2波)によって、世界の石油の消費が、想定よりも減少する懸念があるため、さらなる供給の減少が必要なタイミングと言えます。

このタイミングで、OPECプラスの協調減産が、予定通りとは言え、縮小することは、間が悪かったと言えそうです。

図:2020年4月12日(日)に行われた第10回OPEC・非OPEC閣僚会議での合意事項
2020年4月12日(日)に行われた第10回OPEC・非OPEC閣僚会議での合意事項

出所:OPECの資料から筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。