OPECプラスは6月、減産順守?非順守?

著者:吉田 哲
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原油反落。主要株価指数の反落などで。40.50ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,805.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,610元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年09月限は300.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで970.45ドル(前日比7.15ドル拡大)、円建てで3,404円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月17日 19時55分頃 先限)
 6,221円/g 白金 2,817円/g 原油 28,660円/kl
ゴム 156.5円/kg とうもろこし 22,980円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECプラスは6月、減産順守?非順守?」

前回は「米シェール生産動向、“質”が回復、“数”が減少」として、前回に関連し、米シェール主要地区の原油生産動向に関わる指標について、書きました。

今回は「OPECプラスは6月、減産順守?非順守?」として、今週、OPECの配下組織であるJMMC(共同閣僚監視員会)が公表した、6月のOPECプラスの減産順守率について書きます。

以下の資料のとおり、6月のOPECプラスの減産順守率は、107%でした。100%以上で減産順守ですので、6月はOPECプラスが自ら決めた減産のルールを守ったわけです。

5月が87%で、減産非順守だったため、6月は挽回した感があります。

ただ、今回のJMMCの声明文に、気になる記載がありました。余剰削減分を考慮しない減産順守率です。これは95%でした。

つまり、余剰削減分を考慮しない場合は、減産非順守だった、ということです。

この余剰削減分というのは、決められた削減量以上に行われた削減量の合計です。サウジなどが決められた以上に削減をしています。

OPECプラスの減産においては、全体で見た場合、計算上、決められた量の削減をしていない国を、決められた量以上の削減を行う国が、肩代わりをする場合があります。

この肩代わりの要素を排除したのが、余剰削減分を考慮しない減産順守率、です。

この値が100%を超えた時、どの国も、そして全体も、決められた量以上の削減を行った、ということになります。

肩代わりを許容する場合、従来通りの減産順守率を指標にできますが、今年の5月と6月は、個別の国単位で厳しく削減することが求められたため、肩代わり減産を許容しない、余剰削減分を考慮しない減産順守率に注目する必要があります。

図:OPECプラス全体の減産実施時における削減予定量と削減量および減産順守率
OPECプラス全体の減産実施時における削減予定量と削減量および減産順守率

出所:JMMC(共同閣僚監視員会)の資料より筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。