週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.77ドル高の40.71ドル、ブレント原油は1.50ドル高の43.26ドルとなった。

 前週末の原油相場は、IEAが月報においてコロナウィルスの感染拡大はリスクとしながらも、今年の原油需要見通しを日量40万B上方修正し同9210万Bとしたことが好感された。また、リグ稼働数が5基減少の258基となり、10週連続で減少を続けていることも支えとなった。

 先週はOPECプラスが8月以降減産規模を縮小する見通しであることや米中の対立の激化が重しとなる一方、IEAやOPECの月報において石油需要見通しが上方修正されたことや、EIA統計で原油在庫が大幅減少していたことから需給の引き締まりが意識される格好となり堅調な推移となった。週明けはOPECプラスが8月以降の協調減産について、現行の日量970万Bから770万Bに縮小する見通しであることが重しとなった。またウイグル人の人権問題や香港の国家安全維持法を巡って米欧と中国の対立が深まっており、世界経済や石油需要に悪影響を及ぼすとの懸念も売りを誘う格好となった。翌14日はOPECプラスの月報において2020、21年の需要見通しが上方修正されたことが支えとなったほか、6月の減産順守率が107%と減産合意を上回って生産を減らしていたことが好感され堅調な推移となった。週中にかけても堅調に推移すると、EIA統計において原油在庫が予想以上に減少していたことや、石油製品需要がコロナショック後の最高水準まで回復したことが好感され上値を伸ばす展開となった。ただし、OPECプラスが現行の減産合意通り8月からの原油の生産抑制を緩和する方向で調整しているとの報から戻りは売られた。週末にかけて戻り売り優勢となると、コロナウィルスの感染拡大懸念や減産規模の縮小が嫌気され軟調な推移となった。

 


このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。