なぜまだ高い!? “ワクチン相場”が終わっても原油相場が堅調な理由

著者:吉田 哲
原油反落。米主要株価指数の反落などで。41.51ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,860.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年01月限は14,335元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年01月限は260.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで918.75ドル(前日比4.25ドル縮小)、円建てで3,113円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月19日 19時4分頃 先限)
6,240円/g 白金 3,127円/g
ゴム 225.4円/kg とうもろこし 24,630円/t

●WTI原油先物 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「なぜまだ高い!? “ワクチン相場”が終わっても原油相場が堅調な理由」

前回は「新型コロナをめぐる報道は、強弱両方の材料」として、日本を含んだ主要国の、足元の新型コロナの患者数を確認し、金や原油市場との関連について、筆者の考えを書きました。

今回は「なぜまだ高い!? “ワクチン相場”が終わっても原油相場が堅調な理由」として、今週の各種主要銘柄の値動きを確認し、上昇が続いている原油相場の変動要因について、筆者の考えを書きます。

以下のグラフのとおり、今週はこれまで、ビットコインを除き、主要銘柄は上下2%程度の、小幅な値動きになっています。米大統領選挙の投票日から先週末頃まで、過熱感を帯びた状態が続いていましたが、今週に入り、落ち着きを取り戻していると、言えそうです。

このような中、先々週から、継続して上昇しているのが、原油です。バイデン氏の勝利宣言を受け、クリーンエネルギー政策が進み、消費が減少するとの見方から、下落すると見られていましたが、今週も上昇しています。

今週も原油相場が上昇している背景には、先週から一昨日にかけて、原油に関わるさまざまなデータが公表され、それらに含まれる原油固有の上昇要因が目立ち始めたことが、挙げられます。具体的には、以下の4つです。

先月、米シェール主要地区の原油生産量が5カ月ぶりに減少した①、同地区の稼働リグ数が7月以降、引き続き低水準だった②、メキシコ湾の原油生産量も減少した③(これら3点から、足元、米国の供給圧力が低下していることがうかがえる)、加えて、OPECプラス全体の減産順守が確認された④、です。

ジャンルを超えて、市場全体を見ると、先週まで続いた、米大統領選挙やワクチンに関わる報道などによる過熱感は、やや後退したように思えます。その一方で、原油相場は、WTIベースで41ドル台を維持しています。

過熱感がやや後退したものの、まだ41ドル台を維持しているのは、先述の4つの原油固有の上昇要因が、新型コロナの感染拡大による消費減少や、クリーンエネルギーの台頭などの大きな下落要因を、一時的に相殺しているためと、考えられます。

このような状態にある中、今後、何らかの要因で株高がみられれば、消費回復期待から、原油相場は、一時的に、さらに反発色を強める可能性があります。この場合、9月初旬につけていた44ドル近辺、あるいは。新型コロナショックの直前の45ドル近辺まで、短期的に反発する可能性があると、考えています。

図:11月16日(月)から18日(水)の、各種銘柄の騰落率


出所:各種情報源のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。