[Vol.935] 先週(2月5日~12日)は、プラチナが大幅上昇

著者:吉田 哲
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原油反発。米国の主要株価指数の反発などで。60.59ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,817.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年05月限は14,680元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年04月限は378.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで526.7ドル(前日比37.5ドル縮小)、円建てで1,849円(前日比24円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月15日 19時20分頃 先限)
6,168円/g 白金 4,319円/g
ゴム 251.8円/kg とうもろこし 28,340円/t

●NYプラチナ先物(期近) 月足 (単位:ドル/トロイオンス)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「先週(2月5日~12日)は、プラチナが大幅上昇」

前回は、「コロナ禍で貴金属市場に自我が芽生える!?」として、コロナ禍ゆえ、貴金属市場の“定石”と“定石外”の両方を意識することが必要であることについて述べました。

今回は、「先週(2月5日~12日)は、プラチナが大幅上昇」として、先週1週間の各ジャンルの主要銘柄の騰落率を確認します。

以下の図のとおり、プラチナ価格は先週1週間で、10%以上、上昇しました。株価指数、通貨、コモディティ(商品)、暗号資産の4つのジャンルを横断した合計25の主要銘柄の騰落率ランキングにおいて、プラチナは、ビットコインに次ぐ2位となりました。

日米中の主要株価指数や、原油、銅などの景気連動型のコモディティが総じて上昇したことから、先週は、市場全体が、リスクを取って運用を活性化する“リスク・オン”のムードで覆われた週だったと言えます。

下落した銘柄は、金融緩和の最中で資金の流通量が増加しているドル、先々週まで上昇が目立ち、利益確定の売りが膨らんだトウモロコシなどの穀物でした。全体的には、上昇銘柄数が19.下落銘柄数6、騰落率の平均(最大最小を除く)は+1.8%でした。

全体的に“強い”状況の中、プラチナの上昇率(+11.1%)は、普段から比較的変動率が高い傾向があるビットコインに次ぐ25銘柄中2位、また、昨年11月以降、騰勢を強め、ついに60ドルを回復するなど、上昇に勢いが付いている原油よりも高い値でした。

先週の値動きを受け、国内外のプラチナ価格はおよそ6年ぶりの水準に達しました。足元、世界のプラチナ価格の指標の一つであるNYプラチナ先物は1トロイオンスあたり1,260ドル近辺、NYプラチナ価格におおむね連動し、国内のプラチナ価格の指標である大阪プラチナ先物は1グラムあたり4,090円近辺で推移しています。

騰勢を強めるプラチナ市場で何が起きているのでしょうか。このような時こそ、関連する材料を俯瞰する(鳥の目線のように高いところから全体を見渡すること)が必要です。

次回以降、ポイントとなる材料を挙げ、それらを、短期(足元、プラチナ価格が騰勢を強めている要因)、中期(この数カ月間、プラチナ相場を支え、今後も支え続けるとみられる要因)の大きく2つに分類しながら、今後を展望します。

図:ジャンル横断騰落率ランキング(2021年2月5日から12日)※上海総合指数のみ休場のため2月11日まで


出所:マーケットスピードⅡ、楽天ウォレットのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。