[Vol.948] OPECプラス閣僚会議の決定事項

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。65.09ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,693.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は15,360元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年04月限は423.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで567.8ドル(前日比2.4ドル拡大)、円建てで2,013円(前日比3円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月5日 19時39分頃 先限)
5,906円/g 白金 3,893円/g
ゴム 273.9円/kg とうもろこし 29,630円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「OPECプラス閣僚会議の決定事項」

前回は、「アドラー心理学と市場分析の接点」として、長期的な取り組みである純金積立を行うにあたり、筆者が考える、長期的な心構えのヒントについて書きました。

今回は、「OPECプラス閣僚会議の決定事項」として、2021年3月4日にビデオカンファレンス形式で行われた、第14回OPEC・非OPEC閣僚会議の決定および報告事項を確認します。

OPECのウェブサイトに公表された、ニュースリリースから読み取れる、今回の会合の要旨は以下のとおりです。ニュースリリースに記載されていた順です。

①サウジの自主減産は4月まで延長、については、会議前の数週間、報道ベースで、サウジが自主減産をやめる可能性がある、とささやかれていました。この報道が原油相場の重石になっているとの指摘もありました。

同国の自主減産は、年初に決定し、2021年2月に始まりました。日量100万バレルもの量を、減産の合意事項とは別に削減を行うものです。この自主減産が終わるのではないか、という不安感が立ち込めたものの、実際には4月までの1カ月間、延長になりました。

②4月の削減量は3月と同様(削減幅縮小なし)、については、サウジの自主減産と同様、事前に報道で削減幅縮小がささやかれ、原油相場の重石になる場面がありました。しかし、実際には、削減幅縮小にはならず、4月の削減幅は3月と同様(据え置き)となりました。

③ロシアが13万、カザフスタンが2万バレルの増産が可能、については、ニュースリリースの記載では、季節的な国内需要を満たすため、とされています。国内需要を満たすための削減幅縮小であるため、輸出増加にはつながらず、世界の需給を緩める要因にはならない、と考えられます。

④2月のOPECプラス全体の減産順守率は103%、については、100%を超えれば減産順守であるため、2月が減産順守だったことがわかります。資料で確認できる2020年12月も、101%と、減産順守だったため、OPECプラスは、大幅ではないものの、最低限の減産順守を、おおむね継続していることがわかります。

⑤ナイジェリアは過去の過剰生産分を埋合せた、については、昨年4月に合意した内容に盛り込まれている、“埋合せ”の条項が生きていることを示し、その条項をナイジェリアが満たしたことがわかります。

⑥埋合せの期限を2021年7月まで延長する、については、過去数度、期限を延長しているのですが、再び、延長することが決定しました。この点は、まだ上限を上回って生産をした“過剰生産分”の埋め合わせができていない国が存在することを意味しますが、同時に、うやむやにせずにきちんと、減産を守りきる姿勢が示された、とも言えます。

全体的には、会議前に懸念された、サウジの自主減産停止も、削減幅縮小も、どちらも回避できたこと、埋合せをきちんと行う姿勢が示されたことなど、原油相場にとっては追い風だったと言えると思います。

次回の会合は、2021年3月31日と4月1日です。注意深く、様子をみたいと思います。

図:第14回OPEC・非OPEC閣僚会議の決定・報告事項


出所:OPECの資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。