[Vol.964] 先週、原油相場は記録的な乱高下

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.84ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反落などで。1,726.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年05月限は14,130元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は388.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで537.6ドル(前日比0.15ドル拡大)、円建てで1,943円(前日比52円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月29日 大引け 先限)
6,076円/g 白金 4,133円/g
ゴム 250.0円/kg とうもろこし 29,870円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「先週、原油相場は記録的な乱高下」

前回は、「米シェール生産回復鈍化中」として、世界の石油の需給バランスを引き締めている要因とみられる、“米シェールの回復の鈍さ”と“OPECプラスの大規模な減産継続”のうち、前者について書きました。

今回は、「先週、原油相場は記録的な乱高下」として、主要銘柄のスエズ運河座礁事故発生後の変動率をランキング形式で確認します。

以下のグラフは、スエズ運河で大型船の座礁事故が起きた3月23日(火)から26日(金)までの、主要株価指数、通貨、コモディティ(商品)、暗号資産(仮想通貨)における主要25銘柄の、最大変動率をランキング形式で示しています。

1位ビットコイン(13.4%)と2位のイーサリアム(12.5%)は暗号資産です。もともと変動率が高い傾向がある銘柄です。3位のマザーズ指数(8.1%)は月曜日に付けた高値から大きく反落したため、変動率が高くなりました。

4位に原油がランクインしました。原油はこの間、“波”を打っていました。この間の原油相場は、マザーズ指数のようにトレンド(下落)が発生したわけではなく、大きな変動率をともなったレンジ相場だったわけです。

強い上昇要因と強い下落要因に挟まれ、日替わりで、上昇と下落を繰り返したと、言えます。

スエズ運河の座礁事故のみが、原油相場の変動要因ではありませんが、スエズ運河が主に欧米とアジアを結ぶ世界屈指の交通の要衝であり、運河周辺では石油を積載したタンカーが複数、停泊しているとの報道を受けて、原油相場は上下しているとみられます。

次回以降、原油相場が事故発生後、上昇一辺倒でも下落一辺倒でもなかった理由について、書きます。

図:ジャンル横断変動率ランキング ※変動率は3月23日(火)から26日(金)の間の最高値と最安値から算出


出所:マーケットスピードⅡなどより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。