[Vol.968] 海運コストと海運株

著者:吉田 哲
原油反発。米主要株価指数の反発などで。61.30ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,730.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は14,405元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年05月限は408.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで516.35ドル(前日比7.75ドル縮小)、円建てで1,861円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月2日 19時53分頃 先限)
6,129円/g 白金 4,268円/g
ゴム 252.0円/kg とうもろこし 31,580円/t

●NY原油先物(期近) 日足 (単位:ドル/バレル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「海運コストと海運株」

前回は、「スエズ運河はドコにある!?」として、3月23日(火)に大型貨物船が座礁したスエズ運河の場所を確認しました。

今回は、「海運コストと海運株」として、海上運賃と海運株の関係について、筆者の考えを述べます。

スエズ運河の通行料も関わるため一概に言えませんが、代替手段を講じた場合(喜望峰を経由した場合)、距離と日数がスエズ運河を経由する場合の1.3倍かかることを考えれば、代替手段のコストは、スエズ運河を経由した時よりも高くなる可能性があります。海運需要が旺盛であることを考えればなおさらです。

代替手段が講じられる機会が多くなればなるほど、海運コストの総合的な指数である“バルチック海運指数”は、上昇する可能性があります。

同指数は海運業界がどの程度活発かと示す指標と考えられることがありますが、厳密には、ケープサイズ(喜望峰や南米のホーン岬を経由する大型貨物船)40%、パナマックス(中米のパナマ運河を通過できる最大サイズの貨物船)30%、ハンディマックス(ばら積み船※のうち5万トン前後の貨物船)30%の比重(2018年3月時点)で計算された“運賃の指数”です。

ばら積み船とは、穀物・鉱石などの梱包されていない荷物を輸送する貨物船のことです。

以下の通り、バルチック海運指数(運賃の指数)と、海運関連企業の株価は、この数カ月間、同じような動きをしています。もともと海運需要が旺盛である中、(その他のコストが変わらなかった場合)運賃が上昇することで、これらの企業の収入が多くなる期待が増幅することが、主な要因とみられます。

スエズ運河の事故は鎮静化に向かっていますが、昨今の半導体の供給不足もあり、世界的には、まだまだサプライチェーン(供給網)への不安が絶えません。こうした不安が絶えない状況で起きた今回のスエズ運河での事故は、改めて、流通段階での障害が、川上側のモノ余り、川下側のモノ不足の要因になることを認識するきっかけになったと、筆者は考えています。

スエズ運河で事故が再発したり、同じチョークポイント(世界規模の交通の要衝)であるパナマ運河(中米)やマラッカ海峡(東南アジア)、ホルムズ海峡(中東)などで同様の事故が発生したりする懸念は絶えずあります。

サプライチェーンに注目が集まる今、これらのポイントへの注意も欠かせない時代になっていると、考えられます。

図:国内外の海運株と海運指数 2020年11月2日を100として指数化


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。