[Vol.974] ワクチン登場から5カ月で“患者数3倍”の衝撃

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。59.99ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反落などで。1,741.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,460元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年05月限は382.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで550.25ドル(前日比14.75ドル拡大)、円建てで1,943円(前日比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月12日 20時5分頃 先限)
6,117円/g 白金 4,174円/g
ゴム 226.2円/kg とうもろこし 31,830円/t

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ワクチン登場から5カ月で“患者数3倍”の衝撃」

前回は、「新社会人と純金積立」として、先週誕生した新社会人に純金積立がうってつけの資産形成の手法だと考えられる点について書きました。

今回は、「ワクチン登場から5カ月で“患者数3倍”の衝撃」として、先週までの新型コロナの推定患者数について書きます。

2020年11月9日、90%超の予防効果があるとされる、新型コロナウイルスのワクチンが開発されたと報じられました。WHO(世界保健機関)が同ウイルスを“パンデミック”(世界的な大流行)としたのが2020年3月でした。それから8カ月後、“ワープスピード”と呼ばれた超短期のワクチン開発の成功に人々の多くは安堵しました。

ワクチン開発成功の報道から5カ月が経過した先週まで、新型コロナの感染者数はどのように推移したのでしょうか。以下は、世界全体の同ウイルスの推定患者数です。

患者数の増加傾向は続いています。ワクチン開発成功が報じられた2020年11月上旬の世界の新型コロナウイルスの推定患者数は、およそ1,509万人(感染者4,821万人-回復者3,188万人-死亡者122万人)でした。

先週時点の推定患者数は4,600万人(感染者1億3306万人-回復者8,344万人-死亡者288万人)でした。ワクチン開発成功後、推定患者数はおよそ3倍になったわけです。まだワクチンが世界中に行きわたっていないことは明白です。

ワクチン登場時は、ワクチンに大きな期待が集まりましたが、実際に5カ月経過してみると、まだ明確な効果が出ておらず、返って、効果が出ていない点が不安をあおっているように、感じられます。

このような不安が蓄積すれば、いずれ金(ゴールド)の変動要因のテーマである“有事のムード”を強める可能性があります。

図:世界の新型コロナウイルスの推定患者数(週平均) 単位:百万人 ※患者数は感染者―回復者―死亡者で計算


出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。