[Vol.1010] 原油相場上昇の主因は、米国の生産力低下か

著者:吉田 哲
原油反落。米主要株価指数の反落などで。69.20ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,886.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。21年09月限は13,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。21年07月限は442.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで724.55ドル(前日比3.05ドル縮小)、円建てで2,528円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月7日 18時57分頃 先限)
6,626円/g 白金 4,098円/g
ゴム 239.7円/kg とうもろこし 36,370円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「原油相場上昇の主因は、米国の生産力低下か」

前回は、「金・銀・原油・温室効果ガス排出権は上昇中」として、一部銘柄が調整色を強める中、上昇している金、銀、原油、温室効果ガス排出権の動向について書きました。

今回は、「原油相場上昇の主因は、米国の生産力低下か」として、原油相場が一時、2018年10月以来の水準となる、1バレル70ドルに達した背景について書きます。

一部の報道は、OPECプラス(サウジやイラクなどのOPEC加盟国13カ国と、ロシアやカザフスタンなどの非OPECの主要産油国10カ国、合計23カ国)が、石油在庫が急減する見通しを示すなどして、市場を支配していることが、70ドル到達の主因としています。

筆者はこの点に加え、米国で、新型コロナショック(同ウイルスがパンデミック化したことをきっかけに2020年3月に発生した、ジャンルを問わない多数の主要相場の急落)により、複数の主要なシェール業者が破綻して生産力が低下し、世界全体の需給バランスが供給過剰になりにくくなっている点も、大きな要因とみています。

以下は米国のシェール主要地区および、米国全体の原油生産量の推移です。新型コロナショック発生後の最悪期となった同年5月以降、原油生産量はほとんど横ばいです。

米シェール主要地区の開発関連指標といえる、掘削済井戸数と仕上げ済井戸数は、新型コロナショック発生前の5~7割程度の回復にとどまっています。

原油価格は同ショック発生前の水準に戻ったものの、開発状況が十分に回復していないわけです。先述の同ショック後に生産力が低下したままであることを裏付けています。

足元の原油相場の動向や、今後の原油相場の動向を考える上で、OPECプラスの動向の他、米国原油生産の動向にも、目を向ける必要があります。

図:米シェール主要地区と米国全体の原油生産量 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。