[Vol.1220] メインは「ドル建て」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。106.31ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,980.00ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は13,495元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年06月限は695.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで961.75ドル(前日比4.15ドル縮小)、円建てで3,998円(前日比16円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月19日 19時31分頃 6番限)
8,134円/g
白金 4,136円/g
ゴム 265.0円/kg
とうもろこし 58,020円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「メインは「ドル建て」」

前回は、「急騰する「円建て金」、やや上昇「ドル建て金」」として、足元、大幅上昇する円建て金(ゴールド)の価格推移について書きました。

今回は、「メインは「ドル建て」」として、国際商品における「ドル建て」と「異通貨同一商品」の関係について書きます。

価格の単位が米ドルの商品(コモディティ)は「ドル建て(どるだて)」、円の商品は「円建て(えんだて)」と呼びます。

「ドル建て」銘柄と「円建て」銘柄の関係は、以下のとおりです。国際商品(国をまたいで取引される、規格が統一され、流通量が多い商品)は、いずれも同じような傾向があります。

主に国内で生産・消費される商品や、流通量が少ない商品は当てはまりません。(例:米国の冷凍オレンジジュースや日本の小豆など)

現在の基軸通貨(世界全体で、貿易などで最も多く使われている通貨)は、「米ドル」です。このため、価格の単位が「米ドル」の商品(コモディティ)の価格は、異なる通貨建ての同じコモディティの価格(異通貨同一商品)に対して主導的な立場にあります。(基軸通貨ならぬ「基軸コモディティ」でしょうか)

欧米の取引所などで取引されるコモディティの価格が、まさにそれにあたり、しばしば「国際指標の一つであるニューヨークの先物市場で価格が上昇し、国内市場がそれにつられて上昇した」などと報じられることがあります。

「基軸コモディティ」ゆえ、ドル建てコモディティの売買高は、異なる通貨建ての同じコモディティ銘柄よりも、多い傾向があります。

「主従関係」に反し、ドル建てコモディティ価格が歴史的な大暴騰を演じている時に、異なる通貨建ての同じコモディティ価格が歴史的な大暴落に見舞われていることは、ほとんどありません。しかし、「主従関係」以外に「強弱を加える要素」があることに、留意が必要です。

次回以降、「為替」(「強弱を加える要素」の代表格)が与える、円建てコモディティへの影響について、書きます。

図:国際商品における「ドル建て」と「異通貨 同一商品」の関係


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。