[Vol.1246] 積立投資を効率化させる条件

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。EUがロシア産石油の禁輸を決定したことなどで。118.69ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。1,858.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年09月限は13,255元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年07月限は758.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで901.6ドル(前日比6.35ドル縮小)、円建てで3,708円(前日比28円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月31日 大引け 6番限)
7,588円/g
白金 3,880円/g
ゴム 250.0円/kg
とうもろこし 53,800円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「積立投資を効率化させる条件」

前回は、「クイズ:30年後の資産はいくら?」として、「純金積立」「プラチナ積立」を比較する上で有用とみられる、クイズを出しました。

今回は、「積立投資を効率化させる条件」として、前回のクイズの解答を示した上で、積立投資を効率化させるための必須条件を述べます。

前回のクイズの答えは497万円です。投資金は合計360万円でしたので、資産は1.38倍(38%増)になりました。(手数料考慮後)

スタートした時の価格が5,000円で、取引を終えた時の価格が約2,100円でしたので、価格は半値以下になりました。一時90%以上、下落する場面もありました。しかしなぜ、38%もの収益を上げることができたのでしょうか。

積立て投資の損益は、「保有数量×最終価格」で計算します。つまり、いくら最終価格が低くても、保有数量が多ければ利益が出る場合があるのです。では、保有数量はどのような時に増えやすいのでしょうか。

保有数量は「価格下落時」に増える傾向があります。例えば、1万円を投資するとして、その時の貴金属価格が1万円の場合、購入できる量は1グラムです。5,000円の場合であれば2グラムです。投資金の額が変わらなければ、価格が半値になれば購入できる量は2倍になるのです。

また、「価格下落」によって効率的に増えた保有数量を、効率よく収益化するためには、取引終了前に価格が一定程度反発することが必要です。先ほどのシミュレーションで、仮に20年目で取引を終えてしまった場合、損をします。損が発生するのは、価格が一定程度反発する前に取引を終えてしまったためです。

上記より、積立て投資を効率化させるための必須条件は、(1)価格下落・低迷を利用して保有数量を増やすこと、(2)取引終了前に価格が一定程度反発すること、と言えます。

図:シミュレーションの結果 資産の額と投資金 単位:百万円


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。