[Vol.1275] 昨年末比、エネルギーと穀物が高い。金属は下落

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。103.31ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,738.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は12,610元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年08月限は681.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで865.2ドル(前日比7.05ドル拡大)、円建てで3,842円(前日比13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月11日 15時08分頃 6番限)
7,630円/g
白金 3,788円/g
ゴム 248.1円/kg
とうもろこし 49,800円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近)日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「昨年末比、エネルギーと穀物が高い。金属は下落」

前回は、「悪手3:「とりあえず」コモディティに投資する」として、悪手の3つ目と番外編について、述べました。

今回は、「昨年末比、エネルギーと穀物が高い。金属は下落」として、主要銘柄の騰落率を確認します(2021年末と2022年7月11日を比較)。

以下のとおり、おおむね、エネルギーと穀物が高く、金属と一部の農産物が安いことがわかります。

2月24日(木)に発生したロシアによるウクライナ侵攻後、多くの銘柄が一時的に大きく上昇しましたが、先週末時点では、下落に転じているものがあります。金(ゴールド)、アルミニウム、銅、菜種、木材などです。

今年6月、物価高(インフレ)が深刻な状態であることが示され、米国ではそれを沈静化するべく、米国の中央銀行にあたるFRB(連保準備制度理事会)が、金利の引き上げを加速させました。

金利の引き上げが進むと、個人や企業が資金を調達しにくくなり、加熱した経済情勢が冷え、物価が下がると言われています。しかし、その「副作用」として、景気が減速する懸念が強まります。

6月上旬に公表された米国の「CPI(消費者物価指数)」が高水準だったことを受け、FRBは利上げを加速させたわけですが、同時に、上記の「副作用」が強く意識され、コモディティ(商品)や、株価指数などは、幅広く下落しました。

複数の金属銘柄が、昨年末比で下落に転じたのは、このショック(CPIショック)が主因です。当然、幅広い銘柄が下落したため、エネルギーも穀物も下落したわけですが、これらはプラス圏のままです。

次回以降、下落後も昨年末比プラス圏で推移する、原油相場の推移を確認します。

図:主要銘柄の騰落率(2021年末と2022年7月11日を比較)
図:主要銘柄の騰落率(2021年末と2022年7月11日を比較)

出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。