[Vol.1281] 環境配慮はプラチナの需要を維持する側面あり

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。99.37ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,704.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。22年09月限は11,890元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。22年09月限は662.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで842ドル(前日比9.8ドル縮小)、円建てで3,771円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月20日 17時10分頃 6番限)
7,551円/g
白金 3,780円/g
ゴム 239.9円/kg
とうもろこし 45,200円/t
LNG 4,150.0円/mmBtu(22年6月限 4月7日午前8時59分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「環境配慮はプラチナの需要を維持する側面あり」

前回は、「暴落によって大きくなったプラチナの2大利点」として、プラチナ相場の足元、そして長期の推移を確認しました。

今回は、「環境配慮はプラチナの需要を維持する側面あり」として、プラチナの需給を確認します。

WPIC(World Platinum Investment Council)のデータによれば、以下の通り、需要の73%が産業用、27%が宝飾、供給の76%が鉱山生産、24%がリサイクルによる供給です。(2021年)

2021年の鉱山生産は620万トロイオンス(1トロイオンス=約31グラム)、リサイクルによる供給は195万トロイオンスでした。これまでおよそ10年間、これらの値は「ほぼ横ばい」で推移しています。

需要の割合が大きい「自動車排ガス浄化装置」は、2021年、264万トロイオンスでした。新型コロナがパンデミック化し、世界景気が急速に冷え込んだ2020年から回復。2022年は、2020年に比べて27%増加、2013年から2021年までの平均を上回るなど、さらなる回復が見込まれています(WPICによる)。

近年、「脱炭素」の潮流により、排ガス浄化装置を搭載したガソリン車やディーゼル車(内燃機関を持つ自動車)の販売シェアが低下し、次世代自動車の販売シェアが上昇しています。

EV(電気自動車)とプラグインハイブリッド(PHV/PHEV)の世界全体の販売シェアについて、2017年は1%強でしたが、2021年は8%弱に達しました(EV salesおよび国際自動車工業連合会のデータより計算)。

「脱炭素」を推進して地球環境を守ろうとする動きや、それに乗じてビジネスを拡大しようとする動きが目立っているわけですが、その影響でプラチナの主要需要である「自動車排ガス浄化装置」の需要が減少する可能性がある、との指摘があります。

図:プラチナの需要と供給(2021年)
図:プラチナの需要と供給(2021年)

出所:World Platinum Investment Councilのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。